セドリック – 330型排出ガス規制の時代を走った4代目

小鍛治康人(やすと)約6分
写真:Ypy31/CC0

1975年6月、セドリックは4代目の330型になります。先代230型からの曲面を残しながら、顔つきはより力強いものになりました。

この4年間を追うなら、外観だけでなく数字にも目を向けたい。330、331、332。型式が変わるたびに、排出ガス規制への対応が刻まれています。

曲面をまとった、4代目のセドリック

先代の230型は、グロリアと基本構造を共有した最初のセドリックでした。330型でも、セドリックとグロリアは並んで続きます。

日産は330型の外観を、アメリカ車風の抑揚が強いスタイリングと紹介しています。ボンネットも側面も平板にせず、前後に厚みを持たせた姿です。230型のコークボトルラインを思い出すところはあっても、グリルや灯火、装飾は330型の顔になりました。

車体はセダン、2ドアハードトップ、4ドアハードトップ、バン。エンジンも2Lと2.8Lの系統を用意します。ひとつの形だけでこの世代を代表させるには、最初から選択肢が多い車でした。

330系セドリック2000 SGL-E Extraの4ドアハードトップを斜め前から見た写真。角形のヘッドライトが見える
330系セドリック2000 SGL-E Extra。Ypy31、CC0 1.0。画像加工なし

330から331、332へ

330型の登場時、日産はNAPSと呼ぶ排出ガス対策技術を採用し、昭和50年排出ガス規制に適合しました。NAPSは「NISSAN ANTI POLLUTION SYSTEM」の略です。

昭和51年規制への対応で331型へ、さらに昭和53年規制への対応で332型へ。どれも4代目セドリックの330系です。時代ごとの排出ガス対策が、型式の末尾に刻まれました。

同じ車名で新しい規制を一つずつ越え、セダンやハードトップの展開も続ける。330から332までの数字は、1970年代後半の自動車づくりが動いていたことをそのまま示しています。

角形ライトを持つ4ドアハードトップ

1976年6月に追加された4ドアハードトップのFタイプは、2ドアハードトップと同じ角形ライトを採用しました。丸い四灯のセダンと、角形の灯火を持つFタイプ。同じ330系でも、写真で見分ける手がかりになります。

先ほどの写真に写る2000 SGL-E Extraを見ると、角形ライトがグリルとひと続きになり、セダンとは違う顔をつくっています。1975年の登場時から続く曲面の車体に、四角い前まわりが組み合わさる。上級車としての華やかさと、規制に合わせた中身の改良が同じ時期に進んでいました。

2.2Lディーゼルのセダンも加わった

1977年には、2.2Lのディーゼルエンジンを積む乗用セダンが追加されます。ガソリンの2L・2.8Lだけを並べていたところへ、燃料も性格も異なる選択肢が入ったのです。

1977~1979年型セドリック330系セダン220Dデラックスを斜め前から見た写真
330系のセダン220Dデラックス。TTTNIS、CC0 1.0。画像加工なし

写真の220Dデラックスはセダンです。先ほどの角形ライトを持つ4ドアハードトップと見比べると、同じ時期のセドリックに別々の顔があったことがわかります。四灯の並びも、屋根からトランクへ落ちる線も異なる。エンジンだけでなく、車体の形も選べたのです。

アジアハイウェーを走った2800SGL

330型には、日産が今も保存する少し変わった一台があります。1977年式P331型の2800SGL。L28型2,753ccの直列6気筒で140PSを発生するガソリン車です。

この車は朝日新聞社の取材車として、アジアハイウェー1号線の旅に使われました。トルコのイスタンブールからベトナムのサイゴンまで、取材を重ねながら約2万3,000kmを85日間で走破。日産のヘリテージコレクションに残るのは、その取材に使われた実車です。

保存車の全長は4,785mm、全幅は1,705mm。後で紹介する1978年式2Lデラックスの全長4,690mm、全幅1,690mmより、それぞれ95mm、15mm大きい車体です。2800SGLの大きさを数字で見てから旅の距離を読むと、同じ330系の中でもこの一台の姿がはっきりします。

この車は長旅に向けて、日産の追浜にある特殊車両実験課で手が加えられました。現存車が普通の2800SGLと少し違って見えるのは、そのためです。取材のために実際に使われた一台とわかると、保存車の見え方も変わります。

「特捜最前線」「大都会」「西部警察」などの刑事ドラマにも登場した330型ですが、この2800SGLは画面の外で、長い旅の足になっていました。330型の用途の広さを、言葉より具体的に伝える記録です。

332型を経て、直線的な430型へ

1978年の332型では、上級グレードにラジアルタイヤが標準装備されました。日産が保存する1978年式332型2000デラックスは、L20型1,998ccで115PS、全長4,690mm、全幅1,690mm、ホイールベース2,690mm。前輪ディスク・後輪ドラムのブレーキを持つ、昭和53年規制を越えた時代の2Lセダンです。

隣に2.8Lの2800SGLや2.2Lディーゼルを並べれば、エンジンも車体の性格も違います。331型の時期には角形ライトのFタイプが加わり、332型では上級車の装備が増える。330系は規制に応えながら、選べるセドリックの幅も保ちました。

1979年6月、セドリックは5代目430型へ交代します。次の世代は、長い直線を使った外観に変わります。曲面の330系を見送ると、1970年代のセドリックが、顔つきと排出ガス対策の両方で何度も姿を変えたことが見えてきます。

小鍛治康人(やすと)

 

セドリック – 330型【排出ガス規制の時代を走った4代目】

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