セドリック – 430型直線基調とターボを得た5代目

小鍛治康人(やすと)約7分
写真:TTTNIS/パブリックドメイン

1979年6月、セドリックは430型へ変わりました。5代目の姿は、ひと目で分かります。丸みの残る先代330型に対し、ボンネットも窓も、車体を通る線がまっすぐになったのです。

けれど、430型の変化は外観だけではありません。エンジンの制御を電子化し、発売後にはターボと6気筒ディーゼルも加えました。四角い車体の中で、上級車の動かし方まで変え始めた世代です。

曲線をやめたら、セドリックはどう見えたか

先代の330型には、長いボンネットや車体側面に曲線が残っていました。430型はそこから離れ、フロントグリルも窓の輪郭も、水平と垂直の線で整理します。

濃紺の430型セドリック・セダンを斜め前から見た写真
1979~1981年式とされる430型セドリック・セダン。写真:TTTNIS/CC0 1.0。Commonsの縮小版を使用

写真のセダンを見ると、四角いヘッドライトの横にグリルがまっすぐ伸び、ルーフからトランクまでも角を意識した形です。ただ「角張った」だけではなく、車体の前から後ろまで、同じ線の使い方を通しました。

日産の資料も、先行する二世代の姿から430型が直線的な形へ転じたと振り返っています。型式を知らなくても、330型と並べれば世代の境目が分かる。430型の顔は、それほどはっきり変わりました。

セダン、ハードトップ、戻ってきたワゴン

430型には4ドアセダンと4ドアハードトップがあり、ワゴンも復活しました。一方、2ドアハードトップは用意されませんでした。

ハードトップは、同じ4枚のドアを持ちながら、後席まで続く窓の見え方でセダンと違う印象をつくります。セダンは窓枠と柱を残した落ち着いた形。車名は同じでも、車体の選び方で見せたいセドリックの姿が変わるのです。

セダンとハードトップでは、同じ4ドアでも窓の形が違います。そこに、長いルーフと荷室を持つワゴンも並ぶ。人を乗せる形の違いに、荷物を積む形も加わりました。

黒い1981年式430型セドリック・ハードトップ2800ブロアムを斜め後ろから見た写真
1981年式430型セドリック・ハードトップ2800ブロアム。写真:TTTNIS/撮影者によるパブリックドメイン公開。Commonsの縮小版を使用

この2800ブロアムの写真では、長い後部ガラスとトランクまで続く低い線がよく見えます。正面の角張った印象だけでは分からない、430型のもう一つの姿です。2.8Lのブロアムがあったように、ハードトップも後で加わる2.0Lターボだけの車ではありませんでした。

ECCSがエンジンを見張る

430型の2.8Lガソリンエンジン車には、ECCSと呼ぶエンジン集中電子制御システムが採用されました。点火の時期やアイドリングをコンピューターで集中管理する仕組みで、日産はこれを日本初の採用と説明しています。

それまでのセドリックも、330型でNAPSによる排出ガス対策を進めていました。430型では、エンジンの働きをより細かく制御する方法が加わったわけです。

大きなグリルや豪華な室内は、見れば分かります。ECCSは外から見えません。アクセルを踏んだときや信号待ちで止まったとき、エンジンを適切に働かせるための技術です。上級車の価値を車体の大きさだけでなく、機械の制御にも求めたところに、430型の新しさがあります。

2.8L車に載ったECCSと2.0L車のターボは、対象のエンジンが違います。同じ430型の中で、それぞれ別の方法が力と扱いやすさを支えました。

発売後に加わった2.0Lターボ

L20E・T型ターボ搭載車は、430型の登場から半年後の1979年12月に発売されました。日産はこれを国産乗用車初のターボエンジンと位置づけています。角張った新型が出たあとに、エンジンの選択肢が増えたのです。

1980年式の4ドアハードトップ「ターボSGLエクストラ」には、1,998ccの直列6気筒ターボが載ります。最高出力は145PS、最大トルクは21.0kgm。日産が残す同年式の自然吸気2.0L「200E SGLエクストラ」は130PSです。車体の形と仕様は違いますが、2.0Lという排気量を保ちながら、ターボが力を上積みしたことが数字にも表れています。

当時は第二次石油危機のさなか。日産は、小さめの排気量で出力と燃費性能を両立するための技術としてターボを位置づけています。単に一番大きいエンジンを載せるのではなく、別の方法で力を引き出す答えでした。

1982年式の「ターボブロアム」にも2.0Lターボが載ります。保存車は145PSで、ロックアップ付き3段ATを組み合わせていました。発売後に加わったエンジンが、上級仕様の中でも使われ続けたことが分かります。

6気筒ディーゼルも選べるように

1979年10月、日産はセドリックとグロリアへの6気筒ディーゼル搭載を発表しました。日産のエンジン資料では、そのエンジンはLD28型です。発売順に並べると、6月に430型、10月にディーゼル、12月にターボ。半年ほどの間に、車の選び方が増えていきました。

ターボは2.0Lのまま力を求める選択肢。ディーゼルは、同じ車名を異なる燃料と使い方へ開く選択肢でした。2.8Lガソリン車の電子制御、2.0Lターボ、6気筒ディーゼル。それぞれは別の仕様ですが、一つの430型の中に並びました。外観の直線だけでは、この世代を言い尽くせません。

次はV6のY30へ

1983年、セドリックは6代目Y30へ進みます。そこで主役になるのはVG型V6。430型で使われたL型の直列6気筒から、エンジンの基本の形まで変わります。

430型を振り返ると、角張ったデザインがまず目に入ります。でも、その内側ではECCSが働き、登場後にターボとディーゼルが加わっていました。形を変えながら、次のセドリックに渡す技術も増やした5代目だったのです。

小鍛治康人(やすと)

 

セドリック – 430型【直線基調とターボを得た5代目】

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