セドリック – 130型流れる線と、新しい直列6気筒

1965年10月、セドリックは2代目の130型になります。初代の縦四灯、そして横四灯を見てきたあとでは、流れるような側面の線が目を引きます。
この世代を外観だけで覚えるのは、少しもったいない。3種類の2Lエンジンを選べ、途中で前後の姿を大きく変え、サファリラリーも走ったセドリックです。
31型の次が、130型
初代の30/31型から続くセドリックは、1965年に130型へ交代しました。31型は初代の改良型。130型が、世代を改めた2代目です。
初代には、ひと回り大きな50型セドリック・スペシャルもいました。K型2,825ccの直列6気筒を積む車です。大きな車体と6気筒を先に手にした50型の役割は、プレジデントへとつながっていきます。130型は、その傍らで日産の上級セダンを受け継ぎました。
名前に現れる数字だけを並べると、30、31、50、130。けれどセドリック本流の世代は、30/31型から130型へ進みます。50型で広げた大型車の領域とは、ここで別の道を歩き始めたのです。
ピニンファリーナが引いた「フローイングライン」
130型のデザインを手がけたのは、イタリアのピニンファリーナです。日産はその外観を「フローイングライン」と呼びました。初代のアメリカ車を思わせる姿から、長いボンネットと車体側面が滑らかにつながる姿へ変わります。
当時、高速道路の整備が進んでいました。日産は130型で、高速走行性能だけでなく、静粛性と安全性も高めたと記しています。線の引き直しと同じタイミングで、上級セダンとして走る場面も広がっていたのです。
ただ、この流れる線が最初から広く受け入れられたわけではありません。日産自身、初期の意匠は市場で苦戦したと振り返っています。写真に残る前期型と後期型の顔つきが大きく違うのも、130型を語るうえで外せない話です。
同じ2Lでも、4気筒と二つの6気筒
発売当初に用意されたのは、H20型の直列4気筒、J20型の直列6気筒、そして新開発のL20型直列6気筒。いずれも約2Lですが、H20とJ20はOHV、L20はOHCです。排気量だけでは、この3つの違いは見えません。
日産が保存する1966年式P130カスタム6には、J20型1,973ccの直列6気筒が載り、最高出力は100PS。コラムシフトのMT車です。一方、同じく1966年式のH130スペシャル6は、L20型1,998ccの直列6気筒で105PSを発生します。
両車とも全長4,680mm、ホイールベース2,690mm。同じ大きさの車体に、100PSのJ20型と105PSのL20型がそれぞれ収まっています。数字の差は5PSでも、片方はOHV、もう片方はOHC。130型の中に、新旧二つの6気筒が並んでいました。
ブレーキにも違いがあります。日産が保存するP130カスタム6は前後ともドラム、H130スペシャル6は前輪ディスク・後輪ドラムです。エンジンだけでなく、止まるための装備にもグレードの違いが表れています。
この世代で初めて載ったL20型は、その後も長く日産車の中核を担います。フローイングラインは次の世代で姿を変えても、直列6気筒のL型は走り続ける。その対照も、130型から見える歴史です。
尾灯が変わり、前後の姿も変わる
1966年の改良では、後ろに大きな長方形のテールランプが付きました。その後もほぼ毎年秋に手を入れ、1968年9月にはフロントとリアを大きく変えます。日産は、この前後で前期型と後期型を分けています。

写真のテールランプは、初代31型の横四灯とは別の方向に、車幅を強調します。後期にはフロントグリルとリアの造形も、より四角く平らな印象になりました。「フローイングライン」で始まった130型の6年間は、一枚の写真だけでは語れません。
上級セダンが、東アフリカを完走した
日産のヘリテージコレクションには、130型が1967年と1968年の東アフリカ・サファリラリーに出場し、両年とも完走したという記録があります。
ふだんは人をゆったり運ぶ高級乗用車が、長距離の過酷なラリーにも姿を現した。130型には、街で見せる端正な顔のほかに、そんな一面があります。ピニンファリーナの線だけを追っていると、見逃してしまう足跡です。
115PSの後期型から、230型へ
1968年の大きな外観変更の後も、改良は続きます。日産が保存する1969年式H130カスタム6は、同年10月の改良で115PSとなったL20型1,998ccを搭載。6人乗りで、全長は4,690mmです。1966年式スペシャル6の105PSと並べると、同じL20型でも3年の間に数字が変わったことが見えてきます。
写真に写る後期型のスペシャル6は、130型の最上級グレード。日産に残る1969年10月改良後のスペシャル6も、L20型の115PSです。全長はカスタム6と同じ4,690mmですが、最上級の名が付く車には、同じ器の中で別の位置が与えられていました。

そして1971年、セドリックは3代目230型へ。130型で登場したL20型直列6気筒は、次の世代にも続きます。一方で、ピニンファリーナの流れる線はここで一区切り。230型ではグロリアと基本構造を共有し、セドリックは別の時代に入っていきます。


セドリック – 130型【流れる線と、新しい直列6気筒】
Nissan
クルマのかるた
煽りだけで、クルマがわかるか。



