シビックType R – FN2欧州から来たもう一つのType R

「ユーロR」と呼ばれたFN2

2007年、英国スウィンドン工場で生まれたFN2は、EP3以来となる3ドアボディにスペースシップと揶揄された近未来デザインをまとう一方、エンジンは2.0 ℓ i-VTECのまま201 ps止まりだった。この数値は日本製FD2より25 psも低い。
この数字差が物議を醸しつつ、「家族も積めるホットハッチ」という新しいType R像を提案した。
ハッチバック回帰とヨーロッパ戦略

シビックType R - FL5【血統がたどり着いた新時代のFF】
「Type R」30年目の新章、FL5 画像:Dinkun Chen/CC BY-SA 4.0(Wikimedia Commons) https://kuruma-dna.com/fk8 2022年9月、11代目シビック […
欧州市場では排ガス規制EURO 4と衝突安全強化で車重増は不可避だった。
開発陣は「軽快さより日常との両立」を掲げ、燃料タンクを前席下に収める独自プラットフォームを選択。この決断で室内は広がったが、車高アップと1,320 kgという歴代シビックでも最重量を招いてしまう。
ホンダは「グローバルで売れる赤バッジ」に賭け、快適装備と走りのバランスに挑んだ。
欧州のi-VTEC「K20Z4」

シビックType R - FK8【Type Rが持つ戦闘思想の具現】
「ターボ+空力」で壁をブチ破った十代目FK8 https://kuruma-dna.com/fk2 2017年、ホンダはFK2の成功を見て高回転NAをいさぎよく捨て去り、10代目シビック Type R=FK8 を世に放ち […
心臓部K20Z4は11.0:1の圧縮比、可変カム位相+ハイカム切替のi-VTECを継承し、201 ps/7,800 rpm・193 Nm/5,600 rpmを発生。
ロングストローク寄りの吸排気とバランサーシャフト追加で低中速トルクと静粛性を稼ぎ、「長距離ツアラーでも疲れないType R」を狙った。
リッター当たり100 psは死守したものの、FD2が誇った超高回転の炸裂感は薄まり、ファンを分断する要因となる。
トーションビーム採用の衝撃

シビックType R – FK2【FF戦争最前線に投入された、ターボRの一番機】
「ターボでType R」革命のFK2 https://kuruma-dna.com/fk8 2015年に登場したFK2は、歴代Type Rで初めてターボを積んだ“異端児”だった。 2.0 ℓ VTEC TURBOで310 […
リアサスはコストと荷室容量を優先し、歴代伝統のダブルウィッシュボーンやデュアルアクシスストラットを捨て、トーションビームへ換装。
Top Gear誌は「遊び心を失った」と痛烈に批判したが、開発陣は高剛性アンダーフロアとワイドトレッドで曲がるFFを実現したと主張しました。
実際、フロントのキャスター角とトレールを増やし、フルブッシュ類を専用強化して応答性を確保していました。
MUGEN RR・Ti

シビックType R – EK9 【VTEC一つの頂点にして最高の傑作機】
遂に「Type R」がシビックに降臨 https://kuruma-dna.com/ef9 1997年8月22日、ホンダは6代目シビック(EK型)のマイナーチェンジに合わせて初代シビック Type R EK9が追加されま […
2009年に英国MUGENが手掛けたCivic Type R MUGENはカム・吸排気・軽量化で240 psへ強化し、20台限定で即完売。
さらに最終年にはチタンマフラー+LSD標準の「Type R Ti」が500台設定され、“FN2は遅い”というレッテルを払拭すべくメーカー公認でチューニング競争が過熱した。
モータースポーツ――BTCCから耐久まで

シビックSiR – EG6 【小さな車体に詰まる、90'sホンダの理想】
スポーツシビックEG6の衝撃 画像:Falcon® Photography from France/CC BY-SA 2.0(Wikimedia Commons) https://kuruma-dna.com/ef9 1 […
FN2は英国ツーリングカー選手権(BTCC)で半ワークス体制によりデビューし、2011年シーズンにはメーカー部門を制し、マット・ニールがドライバーズタイトルも獲得しました。耐久ではバサースト6 hやセパン12 hのクラスウィンを重ね、「トーションビームでも勝てる」ことを見せつけました。
「普段使いできるType R」という革新

シビックSiR - EF9 【VTEC神話の夜明け】
Type RのDNAを遡る 「赤バッジに宿る狂気は、どこから始まったのか?」 CIVIC Type Rという大看板の源流を探ると、必ず行き当たるのが1989年登場のグランドシビック SiR(EF9)です。 量産車として世 […
FN2は軽量高回転主義から一歩譲り、日常の扱いやすさと居住性を大幅に向上させました。
トーションビームやパワー不足を嘆く声もあったが、VTECは7,800 rpmで唸り、宇宙船ダッシュボードの向こう側へ景色がワープする体験はやはり赤バッジのもの。
家族と荷物を積み、高速をひと走り。そんな優雅な「ユーロR的な生活」が好きな方は、ぜひ購入を検討してみてはいかがでしょうか。


シビックType R – FN2【欧州から来たもう一つのType R】
Honda
クルマのかるた
煽りだけで、クルマがわかるか。



