ランサーエボリューションIVは、1996年8月に登場した四代目ランエボです。
三菱自動車の公式車史でも、この代からランサー自体がフルモデルチェンジを受けた「第2世代」に入ったことが示されており、エボIVはその新しい器に合わせて生まれた最初のエボでした。
つまりこれは、エボIIIの延長線上の小改良ではなく、プラットフォームごと更新して次の時代へ入ったランエボだったわけです。
エボは既に勝てるクルマだった

ランサーエボリューションIII - CE9A 【空力を得た初期の集大成】
ランサーエボリューションIIIは、1995年2月に登場した三代目ランエボです。 三菱自動車の公式車史では、このモデルについて「エンジン、駆動システム、足回りなどを徹底的に改良」したうえで、「空力性能向上」を狙ってフロント […
エボIIIまででランエボは、4G63ターボ、4WD、年ごとの実戦フィードバックでかなり強いシリーズになっていました。
そして1996年WRCではエボIIIで5勝を挙げ、トミ・マキネンがドライバーズタイトルを獲得している。
そんな中で出てきたエボIVに求められたのは、初期エボの熟成ではなく、勝てることが分かったランエボを、もっと高い次元へ押し上げることでした。
「Active Yaw Control」 を世界初搭載

ランサーエボリューションV - CP9A 【WRカーにグループAのまま殴り合う本気のエボ】
ランサーエボリューションVは、1998年1月に登場した五代目ランエボです。 三菱公式の車史では、1997年にFIAがより広範囲な改造を認めるWRカー規定を導入した中でも、三菱は従来のグループA参戦を継続し、「性能向上に必 […
この世代を象徴するのは、やっぱりAYCです。
三菱公式は、AYC(Active Yaw Control)を「走行状況に応じて後輪左右のトルク差をコントロールし、車体に働くヨーモーメントを制御して旋回性能を向上するシステム」と説明しており、しかも1996年8月発売のランサーエボリューションIVに世界で初めて採用したと明記しています。
ここがエボIVの最大の意味で、ただグリップで曲がる四駆ではなく、電子制御で積極的に向きを変える四駆へ進化した。ランエボの文法が、ここで一段変わったんです。
積極的に曲がる仕組み

ランサーエボリューションII - CE9A 【勝利のための長い調律が始まった一台】
ランサーエボリューションIIは、1994年1月に登場した二代目ランエボです。 三菱公式の車史ページでは、このモデルをはっきり「実戦経験をフィードバック」と表現しています。 つまりエボIIは、単なる年次改良ではない。199 […
だからエボIVは、単に速いだけじゃなく「曲がり方」が新しい。
それまでのランエボも十分速かったんですが、エボIVは後輪左右の駆動配分でヨーを作るという新しい答えを持ち込みました。
ラリーの現場では、速い四駆であるだけでは足りない。どれだけ早くノーズを向け、どれだけ早く次の加速に移れるかが効いてくる。
AYCはそこを狙い撃ちしていて、エボIVはランエボが「ハイテクで速い」方向へ本格的に舵を切った最初の一台でした。
親の顔より見た4G63

ランサーエボリューションVI - CP9A 【熟成で勝ち切った、グループAランエボの完成形】
この世代、先代から派手に変えたわけではありません。 むしろエボVIは、エボVで掴んだ正解をさらに研ぎ澄まし、勝つために必要な部分を徹底して詰めた一台でした。 1999年1月に登場したランサーエボリューションVIは、199 […
心臓部は引き続き4G63です。
WRC 1997の三菱公式ページでは、エボIV競技車のスペックとして4G63 1,997ccターボ、290ps、50kg-mが示されています。
市販車と競技車をそのまま同列にはできないけれど、少なくともこの世代の4G63が、シリーズ初期よりさらに濃い戦闘力へ踏み込んでいたことははっきりしている。
つまりエボIVは、AYCみたいな新機構だけが目玉ではなく、4G63そのものもまだまだ主役であり続けていた世代です。
ボディを新調したエボIV

ランサーエボリューション - CD9A 【ホモロゲのために生まれた急造の怪物】
ランサーエボリューションIは、1992年10月に登場した最初の「エボ」 三菱自動車の公式ヒストリーでも、この初代は「栄光のマシン『ランサー』の名を受け継いだ」モデルとして紹介され、しかも発売後に即完売するほどの人気を集め […
しかもこの世代は、ボディそのものが新しくなっている。
第2世代ランサーをベースにしたエボIVは、I〜IIIの延長に見えて、土台はかなり違う。
新しいボディへ合わせて、メカも制御も刷新してくるからこそ、エボIVは「IV」というより「第二章の1作目」として見るとしっくりくる。
エボIIIまでの流れを一度畳んで、ここからランエボはより洗練され、より複雑で、より速い四駆になっていく。
WRCでもいつも通り強い

ランサーエボリューションVII - CT9A 【ランエボ新時代の開幕】
エボVIまでのランエボというと、軽くて尖っていて、いかにも競技ベースの荒々しいセダンという印象が強いと思います。 ただ、エボVIIはそこが少し違う。2001年2月に登場したこのモデルは、ランサーセディアへのフルモデルチェ […
実戦でも、エボIVはちゃんとその価値を証明しています。
三菱の1997年WRCページによれば、エボIVはモンテカルロ3位、スウェディッシュ3位、サファリ2位と序盤から安定して上位に入り、ポルトガル、カタルーニャ、アルゼンチン、1000湖で優勝。
結果としてトミ・マキネンは2年連続でドライバーズタイトルを防衛しました。
特にカタルーニャは、三菱にとって初のターマックラリー優勝だったと公式が説明していて、これがかなり大きい。
エボIVは、グラベル番長ではなく、オールラウンダーへ進化したランエボでもあったわけです。
ターマックでも好成績を残した意味

ランサーエボリューションVIII - CT9A 【第三世代ランエボの本命】
エボVIIが「大きくなった新世代ランエボ」なら、エボVIIIはその土台を本気で仕上げにきた一台となります。 2003年1月に登場したランサーエボリューションVIIIは、三菱公式でも進化点としてスーパーAYCの採用が明記さ […
このターマックでも勝てたという事実はかなり重いです。
三菱公式は、1997年カタルーニャでの優勝について「これが三菱自動車にとって初の舗装路ラリー優勝であり、ランサーエボリューションがあらゆる路面に対応できるオールラウンダーへ進化したことを明確に示した」と説明しています。
ここがエボIVの本質をかなりよく表している。エボIIIまでのランエボは「強いラリー車」だった。でもエボIVで、どこでも勝てるラリー車へ一段上がった。
強すぎて何年も使われた

ランサーエボリューションIX - CT9A 【4G63を最後まで研ぎ澄ました、一つの到達点】
エボVIIが世代交代、エボVIIIが制御の深化だとすれば、エボIXはその全部をまとめ上げたモデルでした。 2005年3月に登場したランサーエボリューションIXは、シリーズ初となるMIVECを4G63ターボに与え、ターボチ […
さらに1998年も、エボIVはまだ主役でした。
三菱の1998年WRCページによれば、この年から三菱はついにワークスマシン2台で全14戦フル参戦を開始し、開幕戦モンテカルロでも前年のチャンピオンカーであるグループA仕様ランサーエボリューションIVを投入しています。
そしてスウェディッシュ、サファリでなんと優勝を記録。
つまりエボIVは1997年だけの当たり車ではなく、翌年のフル参戦体制の基盤も支えた。本当に強いから翌年も使われたというのは、かなり説得力があります。
元々強かったエボにAYCが加わった

ギャラン VR-4 - E38A/E39A【後のランエボを作った4WDターボ】
ギャランVR-4は、1987年12月に登場した高性能4WDセダンです。 三菱公式の会社史では、このVR-4は4G63 DOHCインタークーラーターボを搭載し、205ps/6000rpmを発生すると説明されています。 しか […
4G63ターボ4WDという強い骨格に、AYCという新しい頭脳を載せたことです。4G63のパワー、4WDのトラクション、そしてAYCによる積極的な旋回制御。この組み合わせでエボIVは、ラリーだけの車からサーキットでも速い車として一歩抜けた。
ランエボが後年までずっと曲がる四駆として語られる土台は、ここで醸成されたものなのです。
エボIVのシリーズへの貢献

ランサーエボリューションX - CZ4A 【エボというアイデンティティの最終形態】
エボXは、これまでのランエボとは少し意味が違います。 エボVIIが新世代シャシーへの転換、エボVIIIとIXがその熟成だったとすれば、エボXは土台そのものを一度壊して作り直したモデルです。 三菱公式も、2007年10月発 […
だからエボIVは、シリーズの中でもかなり重要なモデルです。
エボI〜IIIは、毎年まっすぐ強くなっていく初期ランエボの物語でした。そこからエボIVで、ランエボは一度ステージを変えます。
フルモデルチェンジした新型ランサー、新しい制御思想、ターマック勝利、連続王座。こいつは単なる四代目じゃない。ランエボが“世界王者のハイテク四駆”へ本格進化した起点なんだと思います。
まとめ

FTO – DE2A / DE3A【三菱が本気で仕掛けた、忘れられたFFスポーツ】
1994年登場の三菱FTO。ランエボの陰に隠れがちだが、FFスポーツとしての完成度は極めて高く、日本カー・オブ・ザ・イヤーまで獲得した異色の一台。その開発背景と存在意義を読み解く。
まとめると、ランサーエボリューションIVは、
初期エボを脱ぎ捨てて、ハイテクで曲がるランエボへ進化した第二世代の起点です。
AYCという革命、そしていつもの4G63、1997年WRCの4勝と連続タイトルはその証明。エボIIIまでが「ラリー直結の鋭い進化」なら、エボIVはそこに電子制御で勝ち方を増やした世代でした。
次のエボVについても、ここからさらにブラッシュアップを重ねられて強化されることとなります。
ランサーエボリューションの系譜


ランサーエボリューションIV - CN9A 【変態技術で曲がる次世代のエボ】
Mitsubishi

この記事を書いた人
hodzilla51
クルマの系譜を追っていたら、いつの間にかサイトになっていました
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クルマのかるた
煽りだけで、クルマがわかるか。




