ランサーエボリューションIIIは、1995年2月に登場した三代目ランエボです。
三菱自動車の公式車史では、このモデルについて「エンジン、駆動システム、足回りなどを徹底的に改良」したうえで、「空力性能向上」を狙ってフロントまわりの開口部拡大や大型リアスポイラーなどを採用したと説明しています。
つまりエボIIIは、単なる出力アップ版ではなく、ラリーで勝つためにクルマ全体をさらに戦闘向けへ振った改良型でした。
エボIIまでで既に「武器は足りている」
初代から二代目までで、ランエボの基本文法はもう見えていました。軽量・コンパクトなランサーのボディに、4G63ターボと4WDを載せ、実戦のデータを反映してどんどん煮詰めていく。
その流れの中で1994年WRCでは、エボIIベース車がアクロポリスで2位、ニュージーランドで3位・4位と十分な戦闘力を見せています。
だからエボIIIに求められたのは、ゼロから作り直すことではない。すでに速いランエボを、もっと勝ち切れる形へ仕上げることでした。
テーマは「「徹底改良」」
三菱の車史ページでは、エボIIIはエンジン、駆動システム、足まわりを徹底的に改良したモデルだとされており、この点が非常に重要です。
エボIIまでは実戦経験のフィードバック色が強かったけれど、エボIIIではそのフィードバックが一段進み、もうクルマ全体を勝利の方向へ最適化していく段階に入っています。
シリーズ初期の三台で見ると、エボIIIはランエボが毎年強くなるラリー直結モデルとして本格的に輪郭を固めた世代と言っていいでしょう。
ついに270PSへ到達した4G63
心臓部は引き続き4G63型2.0L DOHCインタークーラーターボです。エボIIIでは最高出力は270PSまで引き上げられました。1994年時点のエボIIが260PSだったことから、また一段上積みされたことになります。
さらに三菱のWRC 1996ページでも、エボIII競技車のスペックとして4G63、1,997cc、270ps、45.0kg-mが示されています。
つまりエボIIIは、シリーズ初期の熟成の到達点として、4G63の力をかなり濃く引き出した世代でもありました。
空力を得たランサーエボリューション
エボIIIを語るなら、馬力の話だけで終えると外します。
この世代の象徴はやっぱり空力です。
三菱公式は、冷却性能を高めるための大開口フロントバンパー、リフトを抑える大型リアスポイラーなどを採用して空力性能を向上させたと説明しています。この点はエボIIIを象徴しています。
エボIやIIにももちろん競技の匂いはあったけれど、エボIIIになると見た目からして「もう完全にそのためのクルマ」になってくる。
走りの必然が、そのまま外観の迫力へ出始めたのがこの世代でした。
エボIIIは、「ランエボ顔」がかなりはっきりしてくる
シリーズの中でエボIIIが印象に残りやすいのは、性能だけじゃなく記号性が強いからです。
大きな開口部、押し出しの強いフロント、そして大型リアスポイラー。これらは単なる演出ではなく、空力改善によるものです。
つまりエボIIIは、ランエボがラリー由来の戦闘車であることを、見た目でもはっきり主張し始めた世代と言える。
後のIV以降ほどメカニズムが複雑ではないのに、存在感はかなり濃い。そこがまたIIIの魅力です。
いつも通り実戦でもしっかり強い
1995年WRCでは、シーズン前半にエボII、後半にエボIIIが投入されました。三菱の1995年WRCページと車史ページによれば、エボIIIはツール・ド・コルスで3位、ニュージーランドで5位、そしてオーストラリアでは1位と4位を獲得しています。
つまりエボIIIは、見た目だけ濃くなったモデルではなく、投入初年度からきちんと勝利を持ち帰った。勝つための空力を与えられたエボが、実際に勝ったというのはかなり大きいです。
この年の勝利は三菱にとって重要だった
1995年のオーストラリアでの勝利は、ランエボにとってただの一勝ではありません。
三菱公式の1995年WRCページでは、この年のオーストラリアで篠塚建次郎がランサーエボリューションで優勝し、日本人初のWRC優勝ドライバーになったと説明している。
これはランエボの速さを証明しただけでなく、三菱のラリー活動全体にとっても大きな節目でした。
エボIIIは、シリーズ初の本格的な勝ちグルマ感をはっきり刻んだ世代とも言えます。
“速さの理由”が空力にまで及んだエボ
ランサーエボリューションIIIの強みを一言で言えば、エボIIまでの強みであった4G63と4WDだけでなく、空力まで含めて勝つ理由を持ち始めたことです。
4G63は270PSへ到達。駆動システムも改良。足まわりも徹底見直し。
さらにフロントもリアも、空力まで明確に競技寄り。
そしてWRCでは実際に優勝。
エボIが「小さい器に全部詰めた切り札」、エボIIが「それを実戦向けに煮詰めた二代目」なら、エボIIIはその切り札を外から見ても中身から見ても本格的な戦闘車にした三代目です。
エボIIIは、初期ランエボの完成形的存在
シリーズ全体で見れば、エボIVから先はプラットフォームも変わり、AYCなど新しい文法が入ってきます。
だからこそエボIIIは、I〜IIIで積み上げてきた初期ランエボのひとまずの到達点として見やすい。4G63ターボ、コンパクトボディ、4WD、年ごとの徹底改良、そしてついに空力まで前に出てきます。
このまとまり方がすごく綺麗なんです。エボIIIは、初期ランエボをもっともランエボらしい姿で締めた世代だと思います。
まとめ
ランサーエボリューションIIIを一言でいえば、
速いだけでは足りないと知ったランエボが、空力まで使って勝ちに行った三代目です。
4G63は270PS。駆動も足も徹底改良。見た目は空力をまとってWRCではちゃんと勝った。
だからエボIIIは単なる三代目じゃない。
「初期のランエボここに極まれり」と言いたくなるくらい、最初の三台の答えがきれいに揃った世代なのです。
次のエボIVから、ここから一気に文法が変わります。なんといってもAYCが初めて搭載されるエボですから…!
(ランエボの記事毎回アツいな)
