ランサーエボリューションIIは、1994年1月に登場した二代目ランエボです。
三菱公式の車史ページでは、このモデルをはっきり「実戦経験をフィードバック」と表現しています。
つまりエボIIは、単なる年次改良ではない。1993年にWRCへ投入したエボIの実戦データをすぐさま市販車と競技車へ反映し、よりラリーで勝ちやすい形へ進めたモデルだったわけです。
エボIがすでに速かったからこその次の一手だった

ランサーエボリューションIII - CE9A 【空力を得た初期の集大成】
ランサーエボリューションIIIは、1995年2月に登場した三代目ランエボです。 三菱自動車の公式車史では、このモデルについて「エンジン、駆動システム、足回りなどを徹底的に改良」したうえで、「空力性能向上」を狙ってフロント […
ここがエボIIの面白いところです。
初代エボは、1993年のWRCデビュー年からモンテカルロ5位、サファリ2位、アクロポリス3位、RAC2位と、いきなり十分に戦えていました。
しかも三菱公式は、1993年シーズン中盤にリアサスペンションや前後スタビライザー、4WDシステムを見直したことでハンドリングが著しく向上したと記しています。
だからエボIIは、苦戦した車のテコ入れ版ではない。最初から戦えたエボを、さらに本気で勝たせにいくためのアップデートだったんです。
「実戦経験のフィードバック」が核にある

ランサーエボリューションIV - CN9A 【変態技術で曲がる次世代のエボ】
ランサーエボリューションIVは、1996年8月に登場した四代目ランエボです。 三菱自動車の公式車史でも、この代からランサー自体がフルモデルチェンジを受けた「第2世代」に入ったことが示されており、エボIVはその新しい器に合 […
三菱の日本向け車史ページでは、エボIIは「『ランサーエボリューション』に、1993年のWRCに参戦した実戦経験をフィードバックして開発」したと明記されています。
さらにその結果として、「エンジン出力アップのほか、ホイールベース延長やサスペンション・ホイールの変更などによって走行性能を向上」させたとも説明している。
要するにエボIIは、見た目を少し直した二代目ではなく、前年の現場で見えた課題を、車体と足まわりとエンジン全部に反映した改良版なのです。
エンジンはやはり4G63を続投

ランサーエボリューション - CD9A 【ホモロゲのために生まれた急造の怪物】
ランサーエボリューションIは、1992年10月に登場した最初の「エボ」 三菱自動車の公式ヒストリーでも、この初代は「栄光のマシン『ランサー』の名を受け継いだ」モデルとして紹介され、しかも発売後に即完売するほどの人気を集め […
心臓は引き続き4G63型2.0L DOHCインタークーラーターボです。
そして三菱公式によれば、エボIIでは最高出力が260PSまで引き上げられた。初代エボIが250PSだったから、数字としては10PSアップ。
ただしエボIIの価値は単純な馬力競争じゃない。
4G63の伸びしろをちゃんと活かしつつ、ラリーでの扱いやすさと車体側の進化まで含めて、より速く走るための総合改良に持ち込んでいるのが重要です。
ホイールベース延長が、エボIIの性格をかなりよく表している

ランサーエボリューションV - CP9A 【WRカーにグループAのまま殴り合う本気のエボ】
ランサーエボリューションVは、1998年1月に登場した五代目ランエボです。 三菱公式の車史では、1997年にFIAがより広範囲な改造を認めるWRカー規定を導入した中でも、三菱は従来のグループA参戦を継続し、「性能向上に必 […
エボIIで象徴的なのがホイールベース延長です。
三菱公式は、走行性能向上のための具体策としてホイールベース延長を挙げている。これはすごくエボIIらしい。
エボIは小さく軽く鋭いことが最大の武器だったけれど、実戦ではただ敏捷なだけでは足りない。荒れた路面や高速域でも踏んでいける安定感が必要になります。
エボIIはその点で、初代の鋭さを捨てずに、もっと深く、もっと安心して攻められる方向へ寄せた二代目だったと見てよいでしょう。
足まわりの見直しこそ、この世代の本丸だった

ランサーエボリューションVI - CP9A 【熟成で勝ち切った、グループAランエボの完成形】
この世代、先代から派手に変えたわけではありません。 むしろエボVIは、エボVで掴んだ正解をさらに研ぎ澄まし、勝つために必要な部分を徹底して詰めた一台でした。 1999年1月に登場したランサーエボリューションVIは、199 […
公式説明でも、エボIIはサスペンション変更とホイール変更が明言されています。
やはりエボIIの改良本質は「出力アップ」ではなく「実戦でより速くするためのシャシー改良」です。
現場で見えたハンドリング課題や安定性の要求を踏まえ、ラリーで踏み抜ける方向に車体を煮詰めている。
エボIが“まず小さい器に全部詰めた初代”なら、エボIIはその器をラリーでさらに機能するよう調律し直した二代目でした。
実戦ではすぐにエボIIへ切り替わっている

ランサーエボリューションVII - CT9A 【ランエボ新時代の開幕】
エボVIまでのランエボというと、軽くて尖っていて、いかにも競技ベースの荒々しいセダンという印象が強いと思います。 ただ、エボVIIはそこが少し違う。2001年2月に登場したこのモデルは、ランサーセディアへのフルモデルチェ […
1994年WRCでの扱いを見ると、エボIIの意味がかなりよく分かります。
三菱の1994年WRCページによれば、開幕のモンテカルロと序盤のサファリは引き続きエボIベースで戦い、その後のアクロポリスからエボIIベース車へスイッチしています。
しかもエボIIはそのアクロポリスでいきなり2位。さらにニュージーランドでは3位・4位を記録した。
これはかなり大きくて、エボIIは“市販車が出たから一応競技でも使った”のではなく、出した瞬間からちゃんと主力として戦力化されたモデルだったわけです。
しかもこの年、ランエボはWRCの主役へ近づいていく

ギャラン VR-4 - E38A/E39A【後のランエボを作った4WDターボ】
ギャランVR-4は、1987年12月に登場した高性能4WDセダンです。 三菱公式の会社史では、このVR-4は4G63 DOHCインタークーラーターボを搭載し、205ps/6000rpmを発生すると説明されています。 しか […
三菱公式の1994年WRCページでは、エボI/IIを用いたその年の戦いで、アクロポリス2位、ニュージーランド3位・4位といった結果が残されている。
そして同じ年の車史ページでは、インドネシアラリーでランサーエボリューションが総合1位・3位を獲得したことも記載されている。
つまりエボIIの時点で、ランエボは“将来強くなる車”ではなく、すでに国内外で前に出始めていた。
エボIIは、その上昇カーブを明確にした二代目です。
初代の勢いをそのままに安定させた

ランサーエボリューションVIII - CT9A 【第三世代ランエボの本命】
エボVIIが「大きくなった新世代ランエボ」なら、エボVIIIはその土台を本気で仕上げにきた一台となります。 2003年1月に登場したランサーエボリューションVIIIは、三菱公式でも進化点としてスーパーAYCの採用が明記さ […
ランサーエボリューションIIの強みを一言で言えば、
初代エボの鋭さを残したまま、実戦でより速く、より安定して使える形に変えたことです。
4G63は260PSへ強化。ホイールベースは延長。サスペンションとホイールも見直し。
そしてWRCでは投入直後から2位、3位、4位。
どれか一つの派手な新機構で勝負した車じゃない。
エボIIは、現場で必要だった改善を全部まっすぐ積み上げたことで強くなった。そこがいかにもランエボらしいです。
エボIIは「ちゃんと偉い」二代目だった

ランサーエボリューションIX - CT9A 【4G63を最後まで研ぎ澄ました、一つの到達点】
エボVIIが世代交代、エボVIIIが制御の深化だとすれば、エボIXはその全部をまとめ上げたモデルでした。 2005年3月に登場したランサーエボリューションIXは、シリーズ初となるMIVECを4G63ターボに与え、ターボチ […
シリーズものの二代目って、どうしても地味に見えやすい。
でもエボIIは違う。こいつがやったのは、初代の勢いを偶然で終わらせず、ランエボという名前を「毎年ちゃんと速くなっていくラリー直結モデル」として定着させることでした。
エボIが切り札なら、エボIIはその切り札を勝負でちゃんと使い切れる武器にした世代です。
まとめ

ランサーエボリューションX - CZ4A 【エボというアイデンティティの最終形態】
エボXは、これまでのランエボとは少し意味が違います。 エボVIIが新世代シャシーへの転換、エボVIIIとIXがその熟成だったとすれば、エボXは土台そのものを一度壊して作り直したモデルです。 三菱公式も、2007年10月発 […
ランサーエボリューションIIを一言でいえば、
最初から速かったエボを、実戦の答えでさらに勝てる形へ煮詰めた二代目です。
エボIの武器をそのまま引き継ぎ、4G63を260PSへ上げ、ホイールベース延長と足まわり改良で、ラリーでより深く踏めるクルマへ進めた。
だからエボIIは、単なる改良版じゃない。
「ランエボは毎年ちゃんと進化する」という文法を、最初に作った二代目と言えるでしょう。
ランサーエボリューションの系譜


ランサーエボリューションII - CE9A 【勝利のための長い調律が始まった一台】
Mitsubishi

この記事を書いた人
hodzilla51
クルマの系譜を追っていたら、いつの間にかサイトになっていました
関連車種
クルマのかるた
煽りだけで、クルマがわかるか。




