M3/M4と同系統のS58型直列6気筒ツインターボを、最初から積む。後輪駆動で、6速MTも選べる。G87型M2は、いまのBMW Mの中で最も「素直に速い」一台です。
そして中古としては、まだ新しい。だからこの記事で書くべきことは、故障の話ではありません。仕様差と保証の話です。
前提として、G87の構成を確認しておきます。エンジンはM3/M4と同系統のS58型3.0L直列6気筒ツインターボ。駆動は後輪、変速機は6速MTと8速Mステップトロニックが選べます。車重は1.7トン級で、先代F87より大きく重くなりました。
年式で出力が違う

M2 / CS – G87【Mの末弟が背負った、最後の純エンジン世代という重荷】
G87型M2とその頂点であるCS。S58エンジンを積む最小Mモデルが、電動化前夜にどんな意味を持つのかを開発背景から読み解きます。
補足すると、出力以外にも年次で細かい変更があります。ソフトウェアの更新、装備の標準化、内装の素材。中古で比較するときは、年式と装備表を並べて見るのが確実です。
G87は2023年の登場時、最高出力460PSでした。それが2024年に480PSへ引き上げられています。中古で探すときは、まずここを確認してください。
同じG87でも、カタログ上の数値が違う。しかも中古価格には、この差が必ずしも正確に反映されていません。同じ価格帯なら、後期の480PS仕様のほうが得という場面があります。
もうひとつ、2025年には530PSまで高めたM2 CSが追加されました。ただしCSは変速機が8速のMステップトロニックのみです。MTが欲しいなら標準のM2を選ぶことになります。
6速MTか、8速ATか

BMW M2 / CS – F87【Mの入口にして、Mの本質】
BMW M2(F87)は2シリーズクーペをベースにしたコンパクトMモデル。初代1Mクーペの精神を継ぎつつ、Competition・CSへと進化した「小さなM」の意味を読み解きます。
玉数の話も補足しておきます。G87は登場から日が浅く、中古市場での流通量はまだ限られます。特にMT車は少なく、色や装備まで条件を付けると、選択肢がほとんど残りません。条件を絞りすぎると、待つ時間のほうが長くなります。
G87は、この時代に6速MTを残した数少ないMモデルです。そして中古市場では、この選択が価格と流通量の両方に効いてきます。
MT車は玉数が少なく、値落ちしにくい傾向があります。趣味性を重視するならMTですが、条件の良い個体を選びやすいのはATのほうです。速さだけを見れば8速ATのほうが確実に速いので、「何のために買うか」で決めてください。
試乗できるなら、両方に乗ってから決めるのが理想です。8速ATは変速が速く、渋滞でも楽。6速MTは操作そのものが目的になります。カタログの数字では絶対に分からない差なので、ここだけは実車で判断してください。
まだ新しい車を中古で買うということ

1シリーズMクーペ – E82【最後のFR直6コンパクトが纏った、Mの暴力】
BMW 1シリーズMクーペ(E82)は、コンパクトなFRボディにM3譲りの直6ターボを押し込んだ異端児。なぜこの車は生まれ、なぜ熱狂的に支持されたのかを読み解きます。
G87の中古を検討する理由は、たいてい価格か納期です。新車価格に対して、初度登録から数年の個体はまとまった額だけ安く買えます。
このとき最も重要なのが保証です。BMWの認定中古車として売られている個体には、走行距離無制限の保証が付くことが一般的で、これは400PS超のターボ車にとって大きな安心材料になります。保証の有無と期間、そして継承の条件は、購入前に必ず確認してください。同じ価格帯なら、保証が生きている個体を選ぶべきです。
年式が新しいぶん、リコールやサービスキャンペーンの実施状況も車台番号で確認できます。ここも販売店に聞いておきましょう。
新車から数年の個体では、初回車検を通しているかどうかも確認ポイントです。車検時に何を交換したかが記録に残っていれば、その分だけ次の出費が遠のきます。逆に、車検直前の個体を買うと、購入直後にまとまった費用が来ます。
維持費を先に見ておく

この車で見落とされがちなのが、消耗品のコストです。
加えて、この車はブレーキとタイヤの摩耗が速い。踏める車ほど消耗品の交換周期が短くなるのは、どのスポーツカーでも同じです。中古で買うときは、タイヤとブレーキの残量を価格交渉の材料にしてください。
タイヤ。 前後で異なるサイズの大径低偏平で、しかもMモデル向けの銘柄が指定されます。交換時にはまとまった額が飛びます。中古を買うときは残溝を確認してください。減っていれば、購入直後に出費が来ます。
ブレーキ。 標準でもM専用の大径ブレーキ、オプションでカーボンセラミックがあります。カーボンセラミックは性能こそ圧倒的ですが、交換時の金額は桁が違います。装着車を選ぶなら、残量の確認は必須です。
車重と燃費。 1.7トン級で400PS超。燃料代も相応にかかります。「小さくて軽いM」という先代までのイメージで維持費を見積もると、外します。
具体的な内訳としては、自動車税は3.0Lの区分、任意保険は車両保険を付けると相応の額になります。燃料はハイオクで実燃費は街乗り7km/L前後。タイヤは1セットで20万円台に達することもあり、ブレーキも同様です。
つまりG87は、車両価格が下がっても走らせる費用は下がりません。この点を織り込んでおけば、中古で買う判断はむしろしやすくなります。
現車確認で見るべきポイント

- 年式と出力:460PS(2023年)か480PS(2024年〜)か
- 変速機:6速MTか8速ATか。試乗して自分に合うほうを
- 保証:認定中古車保証の有無、残期間、継承の条件
- リコール・サービスキャンペーン:車台番号で実施状況を確認
- タイヤとブレーキの残量:購入直後の出費に直結する
- オプション:カーボンバケットシート、カーボンセラミックブレーキなど。価格差の理由を把握する
- 改造の痕跡:ECUチューンは外観では分からない。口頭でも確認する
この車に手を出してよい人、やめた方がよい人

M3 Competition Touring / CS Touring – G81【ついに実現した、M3初のワゴン】
M3史上初のツーリング(ワゴン)として登場したG81。なぜ30年以上も作られなかったのか、そしてなぜ今なのか。開発背景と存在意義を読み解きます。
置き場所も確認しておきましょう。全幅1,887mmは、日本の一般的な機械式駐車場には入りません。自宅と職場の駐車場の制限を、契約前に確認してください。
試乗では、Mモードの設定を切り替えて挙動の違いを確かめてください。エンジン、ステアリング、ダンパー、それぞれに設定があり、組み合わせで性格が変わります。買ってから設定を詰める余地が大きい車なので、試乗で「合わない」と決めつけないほうがいい。
向いている人は、内燃機関のMをいま押さえておきたい人です。M3/M4と同じS58を積み、後輪駆動で、MTも選べる。この条件が次の世代に残っている保証はありません。保証の生きた個体を選べるなら、中古で買うリスクは小さい。
やめた方がよい人は、「小さくて軽いM2」を期待している人です。G87は先代より大きく重く、性格も変わりました。その方向性に納得できないなら、F87型を探したほうが幸せです。
結局、G87の中古は買いなのか

BMW M3 – F80【直6ターボへの転換が突きつけた、M3の本質とは何か】
自然吸気直6からツインターボ直6へ。F80型M3は歴代最大の転換を果たしながら、M3とは何かという問いに正面から向き合った世代です。Competitionの研磨、CSの極限まで含めて読み解きます。
買ったあと最初にやることとしては、保証の継承手続き、コネクテッド機能のアカウント移行、そしてタイヤとブレーキの残量確認。新しい車の中古では、機械の点検より契約まわりの引き継ぎで手間取ることが多いので、先に確認しておいてください。
保証が残っていて、480PS仕様で、タイヤとブレーキに余裕がある個体なら買いです。 まだ新しい車なので、程度の差より書類と仕様の差が大きく効きます。
M2は、かつて「Mの入口」でした。G87では、その入口が本流と同じ心臓を持つに至っています。入口が本物になった世代を、いま買うという選択です。
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この記事を書いた人
hodzilla51
クルマの系譜を追っていたら、いつの間にかサイトになっていました




