プレリュードとは
プレリュードは、ホンダが新しい技術を試すのに「色気」という名目を使ったクルマです。
1978年のSNは、ホンダが初めて「格好で選ばれるクルマ」を狙った一台でした。実用性ではシビックに勝てません。それでも2ドアクーペを出したのは、自社の商品が全部合理性で説明できてしまうことへの危機感だったのでしょう。
その狙いが完全に当たったのが1982年のAB/BA1です。ボンネットを極端に低く抑えるためにリトラクタブルヘッドライトを採用し、四輪独立懸架と四輪ディスクブレーキを与える。日本で「デートカー」と呼ばれる商品類型は、事実上この世代が作りました。売れた理由は雰囲気ですが、中身は当時のホンダの技術の見本市です。
1987年のBA4/BA5/BA7では、その性格が露骨になります。世界初の機械式四輪操舵、つまり4WSを市販車に載せたのです。後輪も曲がるという機構を、スポーツカーではなくデートカーで実用化した。ホンダらしい順番の狂い方でした。
1991年のBA8/BA9はバブル期の全部入りで、H22A型の200PSと大型化した車体を持ちます。ただし時代は変わりつつありました。1996年のBB5/BB6ではATTSという左右輪のトルク配分機構まで用意しますが、クーペ市場そのものが縮み、2001年に生産を終えます。
そして2025年のBF1。24年ぶりに復活したプレリュードは、e:HEVのハイブリッドを積むクーペです。速さの数字ではなく、走らせたときの気持ちよさをどう作るかという問いに、電動化の側から答えようとしています。名目が「色気」であることは、初代から変わっていません。
SNからBF1まで。プレリュードの歴史は、ホンダが実験したい技術に、いつも一番おしゃれな服を着せてきた記録です。






