1982年に登場した2代目プレリュードは、日本の「デートカー」という商品類型を事実上作った一台です。リトラクタブルヘッドライトで先代よりボンネットを80〜100mm下げ、フロントにダブルウィッシュボーンを採用しました。1985年には2.0LのB20A型を積む「2.0Si」(BA1型)も加わります。
そして40年以上が過ぎたいま、この車を中古で買うというのは、まず一台見つけることから始まる話になります。
この世代の中身も確認しておきます。1982年11月に登場し、フロントにダブルウィッシュボーンを採用。リトラクタブルヘッドライトによってボンネットを先代より80〜100mm下げました。1985年6月にはB20A型を積む2.0Si(BA1型)が追加されています。
見るべきは錆。これが8割

プレリュード – AB/BA1【"デートカー"の原点にして、ホンダの技術実験場】
1982年登場の2代目プレリュード。リトラクタブルライトと低いボンネットで"デートカー"の代名詞となったが、その中身はFF用ダブルウィッシュボーンや日本初4輪ABS、B20A型DOHCなど、ホンダの先端技術を惜しみなく注いだ意欲作だった。
この年代の車を選ぶとき、最優先はエンジンでも内装でもありません。錆とモノコックの状態です。
理由は単純で、他はどうにかなるからです。エンジンは載せ替えられます。内装は程度を妥協できます。しかし車体が錆で痩せていたら、直すには時間もお金も途方もなくかかります。
見るべき場所は、フロア、リアの足まわり取り付け部、フェンダーの内側、リトラクタブル機構の周辺、そしてサイドシルの内側。覗き込める場所は全部見てください。 下に潜れるなら潜ってください。ここに時間をかけるだけで、購入後の運命が変わります。
確認の順番としては、まず外から全体のプロポーションを見て、パネルの隙間が均一かを確かめる。次にドアを開けてサイドシルを見る。そしてトランクとボンネットを開け、内側の合わせ目を見る。最後に下に潜る。上から下へ、外から内への順で見ると、見落としが減ります。
なお「80年代のホンダ車はボディ剛性が無い」とよく言われますが、これは一概には言えません。走行距離が少なく、錆の少ない個体は、いま乗ってもしっかりしていることがあります。先入観ではなく、その個体を見て判断してください。
部品が、本当に無い

プレリュード – SN 【ホンダが初めて「色気」を設計した車】
1978年登場の初代プレリュード(SN型)は、ホンダ初のスペシャルティカーであり、実用一辺倒だったホンダが「雰囲気で選ばれる車」に初めて挑んだ一台だった。
価格帯としては、動く個体でも高額にはなりにくい一方、程度の良い個体はほとんど市場に出ません。「安いから買える」ではなく「出てこないから買えない」というのが、この車の実情です。
2代目プレリュードで最も現実的な壁は、部品供給です。
新車の販売台数がそこそこあった車ですが、40年が経ち、リビルト部品も中古部品も、そして部品取り車そのものが入手困難になっています。専用部品が壊れた場合、「探す」のではなく「出てくるのを待つ」ことになります。
だから購入時のチェックは、部品の欠品確認が中心になります。リトラクタブルの機構、内装のトリム、メーター、エンブレム、モール類。欠けている個体は、その部分が永久に欠けたままになる可能性があると考えてください。
同時に、この車を扱ってくれる工場のあてがあるかどうかも重要です。旧車を見慣れた整備工場と付き合えるかどうかで、維持のしやすさがまるで変わります。
ホンダ車を長く見ている工場であれば、この年代の癖を知っています。逆に、輸入車専門店や新しい車ばかり扱う店では、部品の当たりも付きません。買う前に、預ける場所を決めておくのがこの車の鉄則です。
リトラクタブルと、電装

プレリュード – BA4/BA5/BA7【デートカーの王が本気で走りを仕込んだ世代】
3代目プレリュードBA4/BA5型は、デートカーブームの頂点に立ちながら4WSという先進技術を量産化した異色の存在。見た目だけでは終わらなかったホンダの本気を読み解きます。
この年代の電装で厄介なのは、症状が間欠的に出ることです。試乗のときは動いていたのに、翌週動かなくなる。だから購入時には「いま動くか」だけでなく、配線や接点に手が入った記録があるかを確認してください。
リトラクタブルヘッドライトは、この車の象徴であり、同時に可動部です。モーター、リンク、そしてその取り付け部。動作の左右差、異音、途中で止まる症状がないか、必ず何度か開閉して確認してください。
電装全般も40年ぶんの経年で来ます。配線の被覆、接点、スイッチ類。パワーウィンドウやワイパー、灯火類をひととおり動かしてみて、動かないものがあればその先を疑ってください。
特にリトラクタブルは、片側だけ動きが遅い、開いてから戻らない、といった症状が出ます。モーター単体で直る場合もあれば、リンクの摩耗や配線の劣化が原因のこともあります。試乗中に何度か開閉して、再現性を確かめてください。
現車確認で見るべきポイント

- 錆とモノコック:フロア、リア足まわり取り付け部、フェンダー内側、サイドシル。最優先
- リトラクタブルの作動:左右差、異音、途中停止
- 専用部品の欠品:内装トリム、メーター、モール、エンブレム
- 電装:窓、灯火、ワイパー、各スイッチ
- エンジン:始動性、アイドリング、オイル漏れ。B20A搭載車ならなおさら記録を見る
- 記録簿と来歴:40年ぶんの履歴が分かる個体は、それだけで価値がある
この車に手を出してよい人、やめた方がよい人

向いている人は、この形が好きな人です。低いボンネットとリトラクタブル、そして当時のホンダが作った端正な内装。80年代の空気が凝縮された造形で、これを目的に探すなら他に代わりはありません。部品を待つ根気と、預けられる工場が前提になります。
置き場所も重要です。リトラクタブルヘッドライトとFRP以外の外装は、紫外線と雨で確実に傷みます。屋根のある場所を確保できるかどうかで、この車の寿命は変わります。
試乗では、低速でのステアリングの手応えと、直進時の落ち着きを見てください。40年ぶんのブッシュとステアリング系の摩耗は、まっすぐ走らせるだけで分かります。
やめた方がよい人は、走りを求める人です。2代目プレリュードの価値は雰囲気と設計の面白さにあり、動力性能そのものは現代の基準では穏やかです。速さを求めるなら、同じホンダでもっと現実的な選択肢があります。
結局、AB/BA1の中古は買いなのか

プレリュード – BA8/BA9/BB1/BB4【バブルの全部入りが、時代に届かなかった4代目】
1991年登場の4代目プレリュードは、バブル絶頂期に開発されたホンダ渾身のスポーティクーペ。H22A VTECエンジン、電子制御4WS、ワイド&ローボディ。全部載せの贅沢が、崩壊後の市場に放たれた皮肉を読み解く。
錆が軽く、専用部品が揃っている個体なら買いです。 ただし、その条件を満たす個体が市場に出てくること自体が稀になっています。
2代目プレリュードは、ホンダが「合理性では説明できないもの」に本気を出した最初の成功例でした。その空気ごと残っている個体は、これから増えることはありません。
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この記事を書いた人
hodzilla51
クルマの系譜を追っていたら、いつの間にかサイトになっていました




