インフィニティのエンブレムを付け、メルセデス由来の2.0Lターボを積み、ハイブリッドも用意した。V37型スカイラインは、この車名の歴史の中でも特に議論を呼んだ世代です。
そして中古で買うときは、その議論とは別の、実務的な確認事項があります。
構成を確認しておきます。2013年に登場し、2.0Lターボはメルセデス由来の直4、ハイブリッドはVQ35HR型V6にモーターを組み合わせたもの。2019年には3.0LのV6ツインターボ、VR30DDTT型を積む400Rが加わりました。駆動は後輪と四輪が選べます。
ダイレクトアダプティブステアリングのリコール

スカイライン – V37【スカイラインが名前を捨てかけた世代】
ハイブリッド搭載、インフィニティバッジ、ダイムラー製エンジン。V37スカイラインは「スカイラインとは何か」を問い直さざるを得なかった、最も複雑な世代です。
V37の特徴のひとつが、ステアリングと前輪を電気信号でつなぐダイレクトアダプティブステアリング(DAS)です。機械的な結合を持たない構造で、当時としては先進的でした。
補足すると、DASは全グレードに付くわけではありません。装着車と非装着車では操舵の感触がまったく違うため、中古で探すときは装備表で確認してください。「V37に乗った感想」がネット上で割れているのは、この違いが大きい。
この装備について、2016年6月9日にリコールが届け出されています(対象11,673台)。中古で買うなら、その個体が対象かどうか、対象なら改善措置が済んでいるかを必ず確認してください。操舵に関わる部分なので、ここは妥協できません。
DASそのものを不安視する声もありますが、この機構には機械的なバックアップが備わっており、異常時にはステアリングと前輪が物理的に接続される設計です。構造を理解したうえで、リコールが済んでいるかを確認するというのが、正しい向き合い方です。
ハイブリッド車(HV37)は、整備先を先に決める

スカイライン – RV37【ハンズオフが変えた、GTの定義】
プロパイロット2.0を世界初搭載した13代目スカイライン。先進運転支援とスポーツセダンの両立を目指したRV37は、スカイラインの存在意義そのものを問い直す一台でした。
HV37のハイブリッドシステムは、最大で約400Vの高電圧で動きます。この領域は、汎用の診断機では読み取れないことがあり、対応できる整備工場かどうかで、その後の維持が変わります。
購入前に、近くのディーラーまたは対応工場を確認してください。「安く買えたが、見てもらえる場所が遠い」という状況になると、点検のたびに時間を取られます。
ハイブリッドの駆動用バッテリーについても、保証の条件を確認しておいてください。初度登録からの年数と走行距離で条件が変わります。年式の古い個体では保証が切れていることが多く、交換費用は小さくありません。
経年で来るもの

エアコンのコンプレッサー。 焼き付きや異音が定番として挙がります。春から秋に発覚しやすく、修理費もかさみます。試乗では最大冷房で作動音を確認してください。
加えて、この世代は電子制御が多く、警告灯が点いたときに原因の切り分けが難しい車です。汎用の診断機で読めないコードもあるため、日産系または対応工場で診てもらえる環境があるかは重要です。
オルタネーター。 夏場に故障が多いと言われ、交換となれば5万円以上という数字が挙がります。アイドリング時の電圧と警告灯の履歴を見てください。
エンジン内部のスラッジ。 ターボもハイブリッドも、オイル管理を怠れば内部が汚れます。オイルフィラーキャップの裏を覗くのは、この車でも有効です。
グレードで相場が大きく違う

V37で最も人気があるのは、3.0LのV6ツインターボを積む400Rです。中古相場は他のグレードと明確に差があり、玉数も限られます。
装備の差も見ておいてください。V37は年式によって運転支援の内容が変わり、プロパイロットの世代も異なります。中古で「同じV37」と見えても、装備の世代差は小さくありません。
一方、2.0Lターボやハイブリッドは選択肢が多く、条件の良い個体を選びやすい。「スカイラインに乗りたい」のか「400Rに乗りたい」のかで、探し方がまったく変わります。
価格差の目安としては、同年式・同程度でも400Rとそれ以外で明確な差が出ます。400Rは玉数が少なく、値落ちも緩やか。一方、2.0Lターボやハイブリッドは選択肢が多く、装備の良い個体を狙いやすい。予算配分を先に決めておくと、探す時間が短くなります。
エンブレムについても同じです。V37は日産のエンブレムを外してインフィニティのそれを付けた世代で、これを嫌う人もいれば、むしろ好む人もいます。後年、日産のエンブレムへ戻した仕様も登場しました。外装のエンブレムは交換されている個体もあるので、現車で確認してください。
現車確認で見るべきポイント

スカイライン – V36【スポーツカーと高級車の間で揺れた10代目】
2006年登場のV36スカイラインは、VQ37VHRエンジンとFMプラットフォームで走りの質を高めつつ、インフィニティG35/G37として世界市場での高級ブランド化を背負った一台。その二面性の意味を読み解きます。
試乗では、DASの感触を必ず確かめてください。ステアリングの手応えが電気的に作られているため、好みがはっきり分かれます。この一点だけで購入を見送る人もいるので、カタログではなく実車で判断してください。
400Rを検討するなら、ブレーキとタイヤの残量も見ておきましょう。動力性能に見合った消耗品は、交換時にまとまった額になります。
- DASのリコール実施記録:対象車かどうか、改善措置済みか
- 整備先:HV37ならハイブリッド対応の工場が近くにあるか
- エアコン:最大冷房での作動音と冷え
- 充電系:アイドリング時の電圧、警告灯の履歴
- エンジン内部:オイルフィラーキャップ裏の汚れ、記録簿の交換頻度
- グレードと装備:400Rか否か。相場差の理由を把握する
- エンブレム:純正のままか、交換されているか
この車に手を出してよい人、やめた方がよい人

スカイライン – V35【GT-Rを失い、世界基準を得た転換点】
インフィニティG35として世界市場を見据えて開発された9代目スカイライン。GT-Rを切り離し、直6を捨てたその決断は、スカイラインの存在意義そのものを問い直す大転換だった。
維持費の目安は、2.0Lターボで自動車税3万9500円の区分、ハイブリッドと400Rは3.0Lなので5万円の区分。実燃費は2.0Lで10km/L前後、400Rはそれ以下です。同じV37でも、選ぶグレードで年間の負担は明確に変わります。
向いている人は、スカイラインという名前より中身で選べる人です。V37の走りの評価は高く、特に400Rは動力性能で同価格帯を大きく上回ります。名前の議論を脇に置ければ、コストパフォーマンスの高い選択肢です。
やめた方がよい人は、伝統的なスカイライン像を求める人です。丸型テールも直6も、この世代にはありません。それを求めるなら、R34以前を探すことになります。
結局、V37の中古は買いなのか

スカイライン – R34【最後の「スカイライン」を名乗ったGT-R】
R34スカイラインは、肥大化への反省からコンパクト化を図った10代目。最後のスカイラインGT-Rを生み出し、直6RBエンジン時代の集大成となった一台の背景を読み解きます。
買ったあと最初にやることとしては、リコール実施の確認、ハイブリッド車ならバッテリーの状態診断、そしてタイヤとブレーキの残量確認。このうちリコールだけは、購入前に済ませておくのが理想です。
リコールが済んでいて、記録簿が残っていて、整備先の見通しが立つなら買いです。 特に400R以外のグレードは、性能に対して価格が抑えられています。
V37は、スカイラインが名前を捨てかけた世代でした。その葛藤ごと引き受けられるかどうかが、この車を選ぶ基準です。
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hodzilla51
クルマの系譜を追っていたら、いつの間にかサイトになっていました




