シロッコとは
シロッコは、ゴルフの部品で作られながら、ゴルフより速いことを求められたクルマです。
フォルクスワーゲンの主力は常にゴルフでした。実用性でも販売台数でも、そこを超える必要はありません。だからシロッコに与えられた役割は明快で、同じ部品を使って、もっと低く、もっと速く見えることでした。
1982年の53B GTXは、その考え方が最も素直に出た一台です。1.8Lの16バルブは当時の水準で十分に高回転型で、低い車高とくさび形の造形と噛み合っていました。走りの中身はゴルフGTIと同系統でありながら、乗り込んだときの気分がまるで違う。それが商品性でした。
長い空白のあと、2009年に1K8として復活します。シロッコRは2.0Lターボで265PSに達し、専用の足まわりを備えました。骨格はゴルフと共有していても、全高を下げ、ホイールベースの使い方を変えることで、別の乗り物として仕立てられています。
53Bから1K8まで。シロッコの歴史は、同じ部品からどれだけ違う性格を作れるかという、量産メーカーの腕の見せ所の記録です。


