ケイマンとは
ケイマンは、速すぎてはいけないという制約の中で作られてきたクルマです。
構成だけを見れば、911より有利です。エンジンを前後車軸の間に置くミッドシップは、重量物が車体の中心にあるぶん素直に曲がります。それでもポルシェの序列では、ケイマンは常に911の下に置かれてきました。
2005年の987は、ボクスターに屋根を載せた派生車として登場します。屋根が付いたぶん剛性が上がり、走りの素性はむしろ良い。それでも出力は911と重ならないように調整されていました。
2013年の981で、その矛盾がはっきり見えます。自然吸気3.4LのGTSや、レーシングカー由来の部品を与えたGT4は、明らかに上位モデルを脅かす完成度でした。本気を出させてもらえないクルマが、それでも本気を出してしまった世代です。
2016年の982、718ケイマンでは水平対向4気筒ターボへ切り替わります。効率と出力の面では正しい判断でしたが、6気筒の音を失ったことへの反発は大きく、後に自然吸気6気筒のGTS 4.0とGT4が追加されました。批判を受けて上位互換を出すという、ポルシェらしい後出しです。
987から982まで、3世代。ケイマンの歴史は、序列を守るために抑えられた車が、それでも速さで越えていってしまう繰り返しの記録です。


