ZC6型BRZは、トヨタ86と骨格もエンジンも共有する兄弟車です。だから機械的な注意点はほぼ同じで、違うのは玉数と、乗ってきた人の層です。
数字も確認しておきます。FA20型2.0L水平対向4気筒、200PS/7,000rpm、205N・m。変速機は6速MTと6速AT、駆動は後輪。車重は1.2トン前後。86と共通なので、カタログ上の性能差はほとんどありません。
機械的な弱点は86と共通

BRZ – ZC6【スバルが自分の名前で出した、トヨタとの共作FR】
トヨタ86との共同開発で生まれた初代BRZ(ZC6)。水平対向エンジンをFRに積むという異例の構成が、なぜスバルの手で実現したのかを読み解きます。
まず押さえるべきは、エンジンの動弁機構に関するリコールです。バルブスプリングに設計条件を超える荷重がかかり、破損すればエンジンから異音が出て不調になり、走行中ならエンジンが止まるおそれがある、という内容です。
中古で買うなら、車台番号で対象かどうかと実施済みかを必ず確認してください。これは86もBRZも同じです。
続いて、FA20型の直噴エンジン固有の注意点です。
直噴インジェクターのシールは、距離を重ねると炭化して劣化します。VVTソレノイドからのオイル漏れは、放置するとECUの破損につながるとも言われます。オイルポンプの劣化によるVVTの作動不良は、アイドリングの不安定や回転の伸びの鈍さとして出ます。初期型ではイグニッションコイルに起因する不調の報告もあります。
さらに、10万kmを超えた個体ではヘッドカバーガスケットからのオイル滲みがよく見られます。水平対向は合わせ面が多く、年数と距離で滲みが出るのは構造上避けられません。
テールランプのパッキン劣化による浸水も共通です。トランクの内張りをめくって、水の跡と錆を確認してください。
この症状は、放置した期間の長さがそのまま被害の大きさになります。トランク内で水が溜まったまま何年も経った個体では、床面の錆が進んでいることがあります。スペアタイヤスペースを覗くのがいちばん早い確認方法です。
86との違いは「探し方」に出る

86 – ZN6【トヨタが「つくらない理由」を捨てた日】
トヨタとスバルの共同開発で生まれた初代86(ZN6)。なぜトヨタは採算の合わないFRスポーツをあえて世に出したのか。その背景と設計思想、そして系譜上の意味を読み解きます。
同じ車と言っていい中身でも、中古の探し方は変わります。
玉数。 販売台数は86のほうが多く、選択肢も広い。BRZは相対的に数が少なく、条件を絞ると候補が消えます。
使われ方。 BRZを選んだ層はスバル車からの乗り換えが多く、ワインディングや雪道での使用が混じります。一方86はドリフトやサーキットのベースとして使われた個体が目立ちます。同じ年式・同じ距離でも、消耗の中身が違うことがあるということです。
足まわりの味付け。 BRZはスバルが担当したぶん、標準の設定が86と異なります。乗り比べられるなら、両方に乗ってから決める価値があります。
つまり、中身で選ぶなら価格と程度、性格で選ぶならBRZという整理になります。
価格については、一般に86のほうが玉数が多いぶん選択肢が広く、条件の良い個体に当たりやすい。BRZは数が少ないため、程度と価格の組み合わせで妥協を求められることがあります。両方を候補に入れて探すほうが、結果的に良い個体に出会えます。
駆動系とクラッチ

BRZ – ZD8【AWDの会社が育てた、FRスポーツのもう一つの正解】
トヨタとの共同開発で生まれた二代目BRZ・ZD8。初代の反省を踏まえ、スバルが「自分たちのFRスポーツ」として再定義した背景と、その進化の中身を読み解きます。
ミッションの耐久性については、86と同じく「シフトタッチが変わってきたら要注意」と言われます。クラッチのレリーズベアリングの劣化は、ミッション付近からの異音として現れます。
試乗では、クラッチを踏んだ状態と離した状態で音が変わるか、シフトが素直に入るかを確かめてください。特に2速へのシフトダウンは、シンクロの状態が出やすい操作です。
前期と後期

ZC6も途中で改良を受けています。後期型ではエンジン制御と足まわりが見直され、装備も更新されました。中古では後期型のほうが完成度が高いと評価されますが、価格は上がります。
前期型を選ぶなら、リコールと直噴まわりの整備がどこまで済んでいるかを、より丁寧に確認してください。
現車確認で見るべきポイント

- バルブスプリングのリコール実施記録:最優先。車台番号で確認
- エンジンルームの滲み:VVTソレノイド周辺、ヘッドカバーガスケット
- アイドリングと吹け上がり:VVTの作動不良、失火の兆候
- クラッチとシフト:異音、繋がる位置、2速の入り
- トランク内の水と錆:テールランプのパッキン由来
- 使われ方:雪道使用なら下回りの錆、サーキット使用ならブレーキとタイヤ
- 記録簿:オイル交換の頻度
この車に手を出してよい人、やめた方がよい人

WRX STI – VAB【最後の「EJ」を積んだ、終着点のSTI】
スバルWRX STI最終世代となるVAB型。なぜEJ20は延命され続けたのか。最後の純粋なSTIが背負った意味と、終わらせた理由を読み解きます。
向いている人は、86とBRZの違いを理解したうえでBRZを選びたい人です。スバルが仕立てた足まわりと、水平対向を積む後輪駆動という組み合わせに意味を感じるなら、代わりはありません。
やめた方がよい人は、選択肢の多さを求める人です。玉数では86が有利で、条件の良い個体を見つけやすい。「どちらでもいい」なら、86も含めて探したほうが結果的に良い個体に当たります。
結局、ZC6の中古は買いなのか

インプレッサ WRX STI – GRB/GVB【最後の「インプレッサ」を名乗ったSTI】
3代目インプレッサWRX STIとなるGRB/GVBは、ハッチバックとセダンで異なる登場時期を持つ異色のモデル。WRX独立前夜、最後の「インプレッサSTI」が背負ったものを読み解きます。
リコールが済んでいて、記録簿があり、オイル管理がされてきた個体なら買いです。 機械的には86と同じなので、判断基準も同じ。違うのは、選べる数だけです。
維持費は国産スポーツとして標準的です。2.0Lで自動車税は3万9500円の区分、ハイオク指定。タイヤは17インチで負担も大きくありません。距離を走っても維持費で困る車ではない、というのはこの兄弟車の美点です。
BRZは、AWDの会社が四駆を捨てて作った後輪駆動でした。その意味を分かって選ぶなら、86ではなくこちらになります。
この記事を共有

この記事を書いた人
hodzilla51
クルマの系譜を追っていたら、いつの間にかサイトになっていました




