RXシリーズとは
ロータリーエンジンは、有利な点がほとんど無くなってからも作られ続けたエンジンです。RXシリーズの歴史は、そのまま「なぜマツダはやめなかったのか」の記録になります。
1967年のL10A、コスモスポーツが出発点でした。世界初の量産ロータリー搭載車。三角形のローターが回るだけで動力を生む機構は、往復運動を回転に変える普通のエンジンと比べて部品が少なく、小さく、そして滑らかでした。当時のマツダにとっては、他社と同じ土俵で戦わないための切り札だったわけです。
ところが1973年のオイルショックで、この切り札は弱点に変わります。燃費で不利という性格が、そのまま商品力の欠点になりました。
それでもマツダは、1978年のSA22Cでロータリーをスポーツカーへ集約します。低くて軽いエンジンを前車軸より後ろへ積めるという、この機構だけが持つ利点に賭けたのです。1985年のFC3Sではターボと本格的な足まわりで走りを研ぎ澄まし、1991年のFD3Sでシーケンシャルツインターボと徹底した軽量化に到達しました。FD3Sの造形と重量配分は、いまも国産スポーツの一つの基準です。
2003年のSE3P、RX-8は違う答えを出しました。ターボをやめて自然吸気とし、観音開きの後席ドアで4人乗りにする。ロータリーが小さいからこそ成立する車体構成を、走りではなく実用性の側から使ったわけです。
そして2012年、RX-8の生産終了とともに、ロータリー搭載車はいったん市場から消えます。排出ガス規制と燃費規制の前に、この機構の不利は覆せませんでした。近年は発電機として復活していますが、それは別の話です。
L10AからSE3Pまで、5世代。RXシリーズの歴史は、一つの機構に賭けた会社が、その不利を承知で45年間言い訳をしなかった記録です。





