マツダAZ-1とは
AZ-1は、軽自動車の規格に迷い込んだ、一代限りの異常なクルマです。
1992年に登場したPG6SAの構成を並べるだけで、その異常さが分かります。エンジンは運転席の後ろに置くミッドシップ、ドアは上へ跳ね上がるガルウイング、外板は樹脂、車重は約720kg。搭載されたのはスズキ製のF6A型ターボで、出力は自主規制の64PSです。
売るための設計ではありませんでした。ミッドシップは室内も荷室も削りますし、ガルウイングは製造原価も整備性も悪化させます。それでも通ったのは、当時のマツダが多チャンネル展開の中で「他社が絶対に作らないもの」を必要としていたからでしょう。
結果として販売は伸びず、生産台数は4000台あまりで終わります。バブル崩壊後の市場に、この種のクルマを受け止める余裕はありませんでした。
同時期のビート、カプチーノと合わせてABCと呼ばれますが、いま中古市場で最も極端な値動きをするのはAZ-1です。売れなかったことが、そのまま希少性になった記録と言えます。

