エリーゼとは
エリーゼは、軽さだけで25年戦ったクルマです。
1996年のS1が示した答えは、単純ながら誰も実行していないものでした。押し出し材のアルミを接着剤で組み上げる骨格をつくり、車重を700kg台に収める。エンジンは特別なものではなく、ローバー製の1.8Lです。それでも速い。重さが軽ければ、加速も、曲がりも、止まりもすべて有利になるという当たり前の理屈を、量産車で徹底したわけです。
2000年のS2では、造形と作りが洗練されます。衝突安全や排出ガス規制への対応もあり、途中からはトヨタ製エンジンを積むようになりました。信頼性を外から調達してでも、この構成を続けるという判断です。
2011年以降のS3は、規制との折り合いをつけながら中身を磨いた最終章でした。快適装備も増え、重量は初期型より増しています。それでも同時代の他のスポーツカーと比べれば、圧倒的に軽い。基準そのものが違うのです。
そして2021年、エリーゼは生産を終えました。後継はバッテリーを積む時代のクルマになります。皮肉なことに、軽さを最優先する設計思想が最も通用しにくい時代が来たわけです。
S1からS3まで、3世代。エリーゼの歴史は、「軽さは正義」という主張が、25年間どこまで通用したかの記録です。



