メルセデス・ベンツC63Sとは
AMG Cクラスの歴史は、V8をどう手に入れ、どう手放したかの歴史です。
1997年のW202、C43 AMGがその第一歩でした。それまで一台ずつ仕立てていたAMGが、量販価格帯のCクラスに4.3LのV8を積んで正規に売る。特注屋をやめて自動車メーカーの一部になるという宣言が、この一台でした。
2000年のW203では、スーパーチャージャー付きV6のC32と、自然吸気V8のC55が用意されます。小さな車体に大きなエンジンという構図が、ここで商品として定着しました。
頂点は2007年のW204、C63 AMGです。自然吸気6.2LのM156型V8を、Cクラスの鼻先に押し込む。効率で言えば正当化できない構成ですが、その咆哮こそが商品でした。規制が厳しくなる直前だからこそ許された世代とも言えます。
2014年のW205、C63/C63 Sで排気量は4.0Lへ下がり、ツインターボが与えられます。数字の上では速くなり、扱いやすさも上がりました。それでもV8であることは守っています。結果的にこれが、Cクラス AMGにとって最後のV8になりました。
2022年のW206、C63 S E PERFORMANCEでエンジンは2.0Lの直列4気筒になります。そこに電動ターボと後車軸のモーターを組み合わせ、システム出力は680PS。数字だけを見れば歴代最強です。それでも「AMGがV8を捨てた」という受け止められ方をしたのは、この系譜が積み上げてきたものが出力ではなかったからでしょう。
W202からW206まで、5世代。AMG Cクラスの歴史は、性能の測り方が出力から効率へ移るとき、ブランドの記号がどう扱われるかを示す記録です。





