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ランドローバー・ディスカバリー スポーツ12月生産終了、フリーランダーから続いた『入門SUV』系譜が幕

ランドローバー・ディスカバリー スポーツ12月生産終了、フリーランダーから続いた『入門SUV』系譜が幕

Source: carscoops.com(報道用画像)

11年目の静かな退場

ランドローバーが、ブランドの入門SUVであるディスカバリー スポーツ(初代・L550)の生産を2026年12月で終えると認めました。JLRの広報はAutocarに対し「ディスカバリー スポーツの生産は通常のプロダクトライフサイクルに沿って2026年12月に終了する。移行の一環として、一部市場では終了に先立って製造を段階的に縮小する」とコメントしています。すでにフランス、ドイツ、スペインなど複数の欧州市場では工場オーダーが打ち切られ、英国ではまだ構成(コンフィグレーター)が可能な状態です。

直接の引き金は、7月7日に発効したEUの新しい安全基準「一般安全規則2(GSR2)」です。新車には高度なドライバー注意力警告システムや、歩行者・自転車を検知できる先進緊急ブレーキの搭載が義務づけられました。JLRは他のモデルをGSR2対応に更新しましたが、ディスカバリー スポーツは要件を満たしておらず、車齢と相対的に薄い利益率を考えれば、そこへ投資して延命する意味は薄かった、というのがAutocarの見立てです。

フリーランダーから続いた『入門SUV』の系譜

ここで押さえておきたいのが、ディスカバリー スポーツがランドローバーの中で担ってきた役割です。2014年、Halewood工場への2億5600万ドルの投資とともに登場したこのモデルは、ブランドの最も手の届きやすいエントリーモデルとして、実質的にフリーランダーの後を継ぐ位置づけでした。つまり、ランドローバーがコンパクトSUV市場に置いていた『入門枠』の系譜が、ここで一つの区切りを迎えるということです。

そしてこの枠は、かつては明確に稼ぎ頭でした。英国では2015年2月に発売され、2016年(フルイヤー初年度)にはブランドの最量販車となり、グローバルで12万2000台以上を売っています。2019年には新プラットフォームと新インテリアを含む大幅刷新でテコ入れも行われました。ただ、その勢いは続きませんでした。2025年の販売は2016年の10分の1にも満たず、直近四半期は前年同期比49.3%減の2452台。ディスカバリー(2561台)やレンジローバー ヴェラール(4605台)を下回り、ブランド最下位まで沈んでいます。

なぜヴェラールとイヴォークは残るのか

興味深いのは、同じ入門系でも明暗が分かれている点です。ディスカバリー スポーツと車体を共有する兄弟分のレンジローバー イヴォークは直近で1万0615台を売っており、当面存続する見込みです。ヴェラールも4605台と踏みとどまっています。要するに、同じ『入門〜ミドル』の価格帯でも、レンジローバーのバッジを冠したモデルの方がブランド価値と利益率で優位に立っており、車種整理の力学がディスカバリー系にしわ寄せされた格好です。

もっとも、イヴォークも安泰ではありません。近い将来、おそらく新型ディフェンダー スポーツの投入後に段階的に廃止されると見られています。そのディフェンダー スポーツこそが、ディスカバリー スポーツの実質的な後継になり得るとAutocarは示唆しています。ランドローバーの入門枠は「ディスカバリー」から「ディフェンダー」ブランドへと看板を掛け替えていく、という流れです。

ディスカバリーというブランド自体の岐路

今回の生産終了は、ディスカバリーというサブブランドそのものの将来にも疑問符を突きつけます。過去の報道では、大型のディスカバリーも余命わずかとされており、両車が消えればディスカバリーのラインナップは丸ごと姿を消すことになります。かつて『入門』と『実用ミドル』の二枚看板でブランドを支えた名前が、系譜ごと畳まれようとしているわけです。

時代の区切りという意味でも象徴的です。英国では発売から11年超と、マツダ・ロードスター(MX-5)やアルファロメオ・ジュリアよりも長寿でした。ディスカバリー スポーツが去れば、英国市場で最も古いクルマの座はボルボXC90に移ります。奇しくも、ほぼ同時期に登場したポルシェ・マカン(内燃機関版)もGSR2を前に同じ判断を下し、今月生産を終えます。同世代のコンパクト〜ミドルSUVたちが、安全規制という同じ壁の前で静かに世代交代を迎えている——そんな構図が見えてきます。

小鍛治康人(やすと)

この記事を書いた人

hodzilla51

クルマの系譜を追っていたら、いつの間にかサイトになっていました