ニュース一覧に戻る

ホンダ、米国最後のEV「プロローグ」打ち切り GMと組んだEVが消えHV回帰へ

ホンダ、米国最後のEV「プロローグ」打ち切り GMと組んだEVが消えHV回帰へ

Source: motor1.com(報道用画像)

「最後のEV」が消えた——米国ホンダにEVがいなくなる

ホンダが、米国市場に残っていた唯一の量産EV「プロローグ(Prologue)」を打ち切ります。米メディアの取材にホンダが認めたもので、「過去18カ月でEVモデルに対する顧客需要が大きく変化した」というのが理由です。生産は2026年モデルイヤーの完了をもって終了し、販売は在庫を見ながら2027年まで続ける見込み。既存オーナーへのサービス・部品・保証はディーラー網を通じて継続されます。

ここで押さえておきたいのは、これがプロローグ単体の話では終わらないという点です。プロローグが消えると、ホンダの米国ラインナップからEVが一台残らず姿を消します。要するに、世界最大級の市場のひとつでホンダは「EVゼロ」に戻る、ということです。

GMと組んだEVたちが、そろって退場した

プロローグは、GMのEV基盤(Ultium)を使ってGMと共同開発された一台でした。つまり自前のEV専用プラットフォームではなく、他社の土台を借りて素早く市場に投入したモデルです。同じ成り立ちの兄弟車が、アキュラ版のZDXでした。

そのZDXは2025年にすでにラインナップから外れています。そして今回プロローグも打ち切り。ここに一本の線が引けます。GMと組んで送り出したEVが、そろって短命のうちに退場したわけです。共同開発という選択は立ち上げこそ速いものの、需要が冷えたときに「自社の資産」として残りにくい。プロローグとZDXの相次ぐ退場は、その現実をそのまま映しています。

断続的だったホンダEVの系譜

そもそもホンダのEVは、連続した太い一本の系譜というより、断続的に現れては消える点の連なりでした。個性的なシティコミューターとして注目を集めた「ホンダe」、燃料電池もラインナップした「クラリティ」、そして今回のプロローグ。狙う市場もコンセプトもバラバラで、いずれも大きな量に育てる前に幕を引いています。プロローグの打ち切りは、この「続かないEV」というホンダの傾向をもう一度なぞる出来事だと言えます。

しかも今回は、これから出るはずだったEVまで前倒しで消えています。アキュラの電動クロスオーバー「RSX」は3月に見送りが確認され、東京で市販に近い形で披露された近未来的な「0(ゼロ)SUV」「0セダン」も、ディーラーに並ぶ前に棚上げになりました。つまりホンダは、いま走っているEVだけでなく、次の世代の芽まで一度引っ込めたことになります。

約280億ドルを注ぐ、ハイブリッド回帰という本命

では引いた先で何に賭けるのか。答えははっきりしていて、ハイブリッドです。米国では連邦のEV税額控除(7,500ドル)が失効し、EV需要が冷え込みました。ホンダはこの流れを読み、次世代ハイブリッドと、より効率の高い内燃機関に軸足を戻します。

規模も生半可ではありません。ホンダは4.4兆円(現在の為替で約280億ドル)を投じ、2030年3月までに次世代ハイブリッドシステムを積む15モデルを投入する計画です。この新システムは、2023年に導入した現行システムに比べて燃費をおよそ10%改善するとされ、5月にはすでに2台のハイブリッド試作車が公開されています。市販は今後2年以内の見込みです。

縦串で見ると、この転換の意味がよく分かります。ホンダはGMの土台を借りてEVを急いだものの、需要が読み違えとなるやいなや共同開発の系譜をあっさり切り、自前の強みであるハイブリッドへ資源を一気に振り直した——。プロローグの打ち切りは一台の退場劇であると同時に、ホンダの電動化戦略そのものが「借り物のEV」から「自前のHV」へと重心を戻したことを示す、分かりやすい節目なのです。

小鍛治康人(やすと)

この記事を書いた人

hodzilla51

クルマの系譜を追っていたら、いつの間にかサイトになっていました