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ディーゼル・ゴルフ、50年で終幕へ 英国から静かに姿を消した「元祖・省燃費の相棒」

ディーゼル・ゴルフ、50年で終幕へ 英国から静かに姿を消した「元祖・省燃費の相棒」

Source: autocar.co.uk(報道用画像)

1976年に始まった系譜が、静かに終わった

フォルクスワーゲンが、英国でディーゼル仕様のゴルフを販売終了したことを認めました。Autocarに寄せた声明で同社が明かしたもので、日本の量産ニュースはこの事実そのものをまだ報じていません。速報性ではなく、系譜として見たときにこれは大きな節目です。

ゴルフにディーゼルが載ったのは1976年。モデルの登場(1974年)からわずか2年後のことでした。つまりゴルフは、メインストリームのハッチバックにディーゼルを持ち込んだ、ごく初期の存在のひとつだったわけです。当初は「ガラガラとうるさい」エンジンでしたが、燃費の良さは誰もが認めるところでした。英国では、多くの人が人生で初めてディーゼルに触れたクルマがゴルフだった、という世代がいます。

フリート市場を支えた「働くゴルフ」

ディーゼル・ゴルフは、英国でしばしば「best-selling diesel(最も売れたディーゼル車)」の座に就いてきました。とりわけ強かったのが社用車(フリート)市場です。優れた経済性、税制上有利な低CO2、そして後年には侮れない動力性能——これらが法人ドライバーに刺さりました。象徴的な数字があります。2015年、社用車として引き渡された新車ゴルフの8割以上が、いわゆる「オイルバーナー(ディーゼル)」だったのです。

ここに、angleとして押さえておきたい文化があります。欧州には、ディーゼルに速さを与えた「ホットディーゼル」の系譜があり、ゴルフのGTDはその代表格でした。ガソリンのGTIが担った「速いゴルフ」の隣で、GTDは「長距離を淡々と、しかし力強く走るゴルフ」という独自の居場所を築いたわけです。ゴルフと同じ土台から生まれたシロッコのようなスポーツ派生と並べて見ると、この時代のフォルクスワーゲンがいかに多彩な性格をひとつのプラットフォームから引き出していたかがよく分かります。

皮肉にも、崩壊の引き金を引いたのはVW自身

ディーゼル凋落の号砲を鳴らしたのは、ほかならぬフォルクスワーゲンでした。2015年末に表面化した排ガス不正問題です。もっとも、グループ全体としてはディーゼルの主導権を手放しておらず、今年欧州で売れたディーゼルの実に10台に4台がVWグループ車という状況は続いています。ドイツやイタリアではまだディーゼルが一定の存在感を保っている一方、英国は他国より早く「さよなら」を告げにかかりました。

SMMTの数字が現実を突きつけます。1〜5月の英国新車販売に占めるディーゼルはわずか4.8%。前年同期比でさらに7%落ち込み、4万4449台にとどまりました。そしてディーゼル・ゴルフに至っては、今年これまでのゴルフ全販売のたった5.5%。かつて法人ドライバーの筆頭候補だったクルマが、ここまで細ったのです。フォルクスワーゲンUKは「顧客需要を継続的に評価した結果、ゴルフではガソリンと今後のハイブリッドに注力することを選んだ」と説明しています。要するに、需要が消えたから引いた、という淡々とした判断です。

ダウンサイジングTDIの後を継ぐのは電動化

ディーゼルが空けた席には、電動化されたパワートレインが座ります。ゴルフには今冬、新たにフルハイブリッドが加わり、既存のマイルドハイブリッド、プラグインハイブリッド、そしてガソリンと横並びになる予定です。

興味深いのは、ディーゼルが最後まで誇りにしていた「長距離性能」という価値が、いま揺らいでいる点です。「一度の給油で800マイル、60mpg。EVで真似できるか?」——こうしたディーゼル擁護の常套句は、航続距離を伸ばしたEVの前で説得力を失いつつあります。ディーゼルはもはやニッチな選択肢だ、というのが英国メディアの見立てです。

1976年に始まり、フリート市場を半世紀支え、GTDというホットディーゼル文化まで生んだゴルフのディーゼル系譜。その終わりは、派手な追悼記事もないまま、需要統計の小さな数字とともに訪れました。系譜を追う立場からすると、この静けさこそが、ひとつの時代の本当の終わり方なのかもしれません。

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小鍛治康人(やすと)

この記事を書いた人

hodzilla51

クルマの系譜を追っていたら、いつの間にかサイトになっていました