「Roush=フォード」という常識が揺らいだ日
チューニングの世界で「Roush(ラウシュ)」という名前を聞けば、多くの人がまずフォードを思い浮かべるはずです。ところがそのRoush Performanceが、次の大型プロジェクトの相手として選んだのは、なんとラム(Ram)でした。ミシガンを拠点とする老舗チューナーが、ピックアップトラックメーカーのラムと組み、新しいパフォーマンスモデルの開発に乗り出すというのです。
RoushがInstagramに投稿したシルエット写真からは、TRX、あるいはその後継にあたるRHOをさらに過激にしたようなモデルの存在がうかがえます。どちらもすでに桁外れのパワーを持つトラックですが、そこにRoushの手が入れば、もう一段“狂った”仕上がりになる可能性があります。詳細はまだほとんど明かされていませんが、方向性だけは十分すぎるほど伝わってきます。
Mustangとともに歩んできたRoushがRamへ
この一報が興味深いのは、単なる新型トラックの話ではなく、Roushというブランドの“立ち位置”が動いた瞬間だからです。Roushはこれまで、Mustangはもちろん、F-150のチューンでも名を馳せてきました。ストリート仕様の「Nitemare(ナイトメア)」、リフトアップされた「RT6」といったモデルを抱え、Bronco向けのアフターパーツやキットまで手がける、いわばフォード陣営の常連でした。
その老舗がStellantis傘下のラムへと軸足を移す。ここに象徴性があります。長年フォードのパフォーマンスイメージを支えてきたチューナーが、ライバル陣営のトラックに本気のメスを入れる——「Roush=フォード」という図式に慣れた目には、ちょっとした“裏切り”にすら見える出来事です。
ダコタ以来のラム、そして相性の良さ
もっとも、Roushとこのグループの関わりがまったくの初めてというわけではありません。今回はかつてのダッジ・ダコタを除けば、Roushにとって初のラム製トラックとなります。裏を返せば、ダコタ時代に細い接点があった、ということでもあります。
そして相性という点では、両者は驚くほど噛み合っています。ラムはトラックから限界までパフォーマンスを絞り出すことに余念がなく、Roushもまた同じDNAを持つ集団です。素材にも事欠きません。最近披露された「1500 Rumble Bee(ランブルビー)」は追加のパフォーマンスパーツとチューンを待っているような一台ですし、「2500 Power Wagon(パワーワゴン)」もまた、Roushの腕が映えそうな存在です。
系譜の文脈で見る“鞍替え”の意味
ベースがTRX系であることが事実なら、この新型は「パワーで殴る」系統のトラックの最前線に立つことになります。問題は、その仕上げを担うのがこれまでフォードの番人だったRoushだという点です。長年積み上げてきたフォードでのノウハウが、そっくりラム側の戦力になる——この移籍がもたらすのは、一台の過激なトラック以上の意味を持つかもしれません。
どんなモデルが飛び出してくるのか、現時点では断言できません。ただ、トラックから性能を搾り取ることにかけては筋金入りの二者が組むのです。期待しないほうが難しい、というのが正直なところです。

この記事を書いた人
hodzilla51
クルマの系譜を追っていたら、いつの間にかサイトになっていました