復刻ネームの“見た目”ではなく“中身”が動いた
レトロ復刻ブームと言うと、どうしても外観の話に終始しがちです。けれど今回ルノーが手を入れるのは、まさにその裏側、電動パワートレインの中身でした。英Autocarの報道によれば、ルノー5(R5)とルノー4(R4)が2027年にアップデートを受け、より効率が高く、よりパワフルな新型モーターを搭載します。
復刻されたヘリテージネームの第一弾、R5が登場したのは2024年。続いてクロスオーバー版とも言える双子のR4が2025年初頭に加わりました。両車はともに「AmpR Small」プラットフォームをベースに、ルノーの第2世代となる外部励磁同期モーター(EESM)を採用しています。
現行の2構成をおさらいしておく
現行のパワートレインは2構成です。R5の「Urban Range」は121馬力のEESMと40kWhバッテリーの組み合わせ、上位の「Comfort Range」は148馬力モーターと52kWhバッテリーを積みます。英国では、ボディの大きいR4はComfort Rangeのみの設定です。
航続距離はR5が192マイルまたは252マイル、ガッシリした体格のR4では上限が250マイルになります。要するに、現状でも実用十分なスペックではあるのですが、ライバルの伸びを考えると、ここで一段ギアを上げておきたい——というのがルノーの判断です。
Twingoで先行デビューした『Gen2 Evo』
そこで投入されるのが『Gen2 Evo』と呼ばれる改良型モーターです。注目したいのは、この進化が単独で生まれたものではない点です。ルノーは2028年に登場する次期セニックとメガーヌ向けに第3世代のドライブユニットを開発しており、そこで得た知見をGen2 Evoにフィードバックしています。つまり、次世代の技術を先に小型車へ“下ろしてくる”という流れです。
「我々はGen2モーターの効率とパワーをどう高めるか、まだ作業を続けています」と、ルノーのEVモーター・バッテリー開発ディレクター、マリアンヌ・バタイヨン氏は語っています。「これらの改良を2026年末、あるいは2027年初頭に適用する予定です」。改良のポイントとして同氏が挙げたのは、モーターのインバーターとリダクションギア(減速機)。ここに手を入れることで、効率の向上と出力アップの両方を引き出したとしています。
このGen2 Evoモーターが最初にお披露目されたのは、年内に英国へ上陸する新型トゥインゴ(Twingo)でした。ただしトゥインゴでは街乗り特化という性格上、出力は80馬力に絞られています。同じモーターでも積む車のキャラクターで“出し方”を変えてくる、というわけです。系譜の視点で見ると、ここが面白いところで、復刻3兄弟(R5・R4・トゥインゴ)が単なる懐古ではなく、共通の電動心臓を段階的に磨いていくプラットフォーム戦略の上に乗っていることがよく分かります。
ライバルの数字が突きつける“現実”
なぜ今このタイミングなのか。背景には新興ライバルの存在があります。登場予定のフォルクスワーゲンID.Poloは、パワートレイン次第で204マイルまたは283マイルの航続を提示し、航続でR5を上回ります。シュコダ・エピック(Epiq)も同様で、190マイルまたは272マイルを謳い、上の数字はR4を超えてきます。
レトロな顔つきだけでは、こうした最新世代の数字勝負には勝てません。Gen2 Evoは、R4とR5を技術スペックの面で新しいライバルと“同じ土俵”に保つための一手と言えます。外観で過去を引用し、中身では未来を先取りする。復刻ブームの本当の競争は、こうした見えない部分で進んでいるわけです。
この車種の系譜をもっと深く

トゥインゴ GT – AHH4B1【リアエンジンの小さな暴れん坊】
系譜記事を読む
この記事を書いた人
hodzilla51
クルマの系譜を追っていたら、いつの間にかサイトになっていました
