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レクサスLS、米欧撤退後も日本と豪州で延命へ─創業車の静かな終着点

レクサスLS、米欧撤退後も日本と豪州で延命へ─創業車の静かな終着点

Source: carscoops.com(報道用画像)

米欧から消えたフラッグシップが、日本と豪州で生き残る

レクサスの旗艦セダンLSが、静かに、しかし長い「引退プロセス」を歩んでいます。英国ではすでに販売終了、北米でも2026年モデルを最後に限定の「ヘリテージ・エディション」を残して去りました。ところが、です。米国の自動車メディアCarscoopsによれば、LSは豪州で2027年まで販売が継続され、日本でも新たなモデルイヤー・アップデートを受けることが確認されました。

豪州レクサスの広報担当は「LSはマイナーな技術的アップデートを受け、改良モデルは年末に向けて豪州で発売される」とコメント。日本では現地メディアCreative Trendが、9月10日に姿を現す改良内容を報じています。豪州仕様は、右ハンドルの日本仕様の兄弟からこれらの変更を受け継ぐ形です。

創業車の系譜が、いま本国と豪州だけに縮む

ここで思い出したいのが、LSがどんな車なのかという文脈です。LSは1989年、初代LS400(日本名セルシオ)としてレクサスというブランドそのものを世界に立ち上げた創業車でした。ドイツ勢が支配していた高級サルーン市場に、静粛性と精緻な仕上げで殴り込みをかけた一台。その系譜の到達点が、いまや発祥の地・日本と、右ハンドル市場の豪州だけで細々と生き残るというのは、なかなか象徴的です。

フラッグシップ・セダンという概念そのものが世界的に縮小するなか、レクサスでも他市場ではより小さなESが旗艦セダンの座を引き継いでいます。かつてブランドの顔だったLSが、本国優遇の「地元専用モデル」に近い立ち位置へと後退していく。高級セダン衰退の縦串が、ここにはっきり表れています。セルシオから続くこの系譜がどこへ向かうのかを踏まえると、今回の延命は華やかな延命ではなく、看取りに近いものに見えます。

ハイブリッド一本化と、地味だが本質的な改良

今回の日本仕様の変更は、2026年の小改良より踏み込むとされています。ラインナップは高級グレードのF Sport、Version L、Executiveの3本に絞られ、エントリーモデルは廃止される見込み。外観ではテールゲートのLバッジが「Lexus」のレタリングに変わる可能性が伝えられています。パノラマガラスルーフがオプションに追加され、現行のチルト&スライド式ムーンルーフは標準化されるとのことです。

より大きなニュースは中身にあります。ツインターボ3.4リッターV6を積む非ハイブリッドのLS 500が廃止され、LS 500hのみが残る、つまりハイブリッド一本化が噂されています。このLS 500hは自然吸気3.5リッターV6にデュアルモーターを組み合わせ、システム総合出力は354馬力(264kW/359PS)です。

さらにフロアトンネルに沿った構造補強や、リアクロスメンバーへの制振材追加によって、ステアリングフィールの向上とより上質な乗り心地を狙うとされています。F Sportについては、日本の厳しい加速走行騒音規制に対応するため、前後異サイズのスタッガード配置から前後同サイズへ変更される可能性も。要するに、派手な新装備ではなく、走りの素性を静かに磨く方向の改良です。

最新技術は載らない、それでも延命される理由

一方で、LSは弟分のESが得た最新技術を受け継ぎません。最新のLexus Safety System+ 4.0や、Areneソフトウェアを走らせる新型14インチインフォテインメントには移行せず、既存の安全装備とデュアル12.3インチディスプレイを維持する見込みです。旗艦なのに最新装備が回ってこない──ここにもLSの現在地がにじみます。

そもそもLSの現行5代目(XF50)は2017年デビューで、来年には登場から10年を迎えます。それでもレクサスが手を入れ続けるのは、ブランドの原点を簡単には切れないからでしょう。2025年後半に公開された「LS Concept」は、この名前を電動の6輪ミニバンへと変貌させる大胆な未来像を示しました。量産版はまだ数年先ですが、セダンとしてのLSの物語は、静かに幕引きへ向かっているように見えます。

今回の改良が旗艦セダンとしての最終年になるのか、それはまだ分かりません。ただ、創業車が発祥の地と豪州だけで最後の延命を受けるという事実は、ひとつの時代の終わりを確かに告げています。

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小鍛治康人(やすと)

この記事を書いた人

hodzilla51

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