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アウディA6 allroad復活——SUV全盛でも『リフトアップ・ワゴン』が消えない理由

アウディA6 allroad復活——SUV全盛でも『リフトアップ・ワゴン』が消えない理由

Source: autocar.co.uk(報道用画像)

4年ぶりの復活、しかも「これまで以上にラギッド」

アウディが、ファミリーワゴン「A6アバント」をベースにしたタフな4WDワゴン「A6 allroad」を新世代(C9)として復活させた。英国市場では前世代のallroadが販売終了してから4年。新型は数カ月以内にディーラーに並ぶ予定で、Autocarは「多くの本格SUVに匹敵する悪路走破性を約束する」と伝えている。

注目すべきは、アウディがこのタイミングで“ほぼ消滅しかけたニッチ”をあえて再点火しようとしている点だ。同じフォーマットのライバル——シュコダ・スーパーブ・スカウト、ボルボV90クロスカントリー、メルセデス・ベンツEクラス・オールテライン——はいずれも姿を消しつつある。SUVが市場を覆い尽くし、電動化が進むなかで、リフトアップ・ワゴンというカテゴリーは絶滅危惧種になっている。

1999年から続く「allroad」というフォーマット

「allroad」は、1999年に初代A6 allroad quattro(C5)として登場して以来、アウディが守り続けてきた独自フォーマットだ。SUVのような車高と悪路性能を持ちながら、ワゴンの低い重心・荷室・走りの素性を捨てない——この“いいとこ取り”の発想は、当時としても明快な回答だった。

アウディの技術責任者ロウヴェン・モール氏は、A6 allroadを「アウディのラインアップにおけるアイコン」と表現。新世代でも「オンロードの快適性とラフロードの走破性の両立」という歴代allroadの美点を受け継ぐことを目標に据えたと語る。つまり今回の復活は単なる派生車の追加ではなく、四半世紀続くコンセプトの“再確認”でもある。

ニッチであることは、必ずしも弱さではない。SUVへ流れた大衆と一線を画す独自フォーマットを、ブランドの文脈として磨き続けるという選択は、たとえばフォルクスワーゲン・シロッコのような“尖った系譜”が示してきた価値観とも通じる。多数派に迎合せず、明快なキャラクターで支持を集める——allroadもまた、その系譜に連なる存在だ。

標準A6とは別物のシャシー、34mmアップ

新型allroadを単なる“着せ替え”に終わらせていないのが、徹底したシャシーの作り込みだ。アウディは専用サスペンションと専用ステアリングシステムを与え、標準A6とは「根本的に異なる乗り物」に仕立てたとする。

最も分かりやすい違いが、ノーマルモードで標準A6比34mm高い車高だ。アクティブ・エアサスペンションは55mmの調整幅を持ち、最も過激な設定ではさらに15mm持ち上げられる(その際はショックアブソーバーも追加分に合わせて作動)。一方、通常のオンロード走行向けにはより快適な「Comfort」モード、精度と安定性を高める「Dynamic」モードでは20mm車高を下げる設定も用意。さらにいずれのモードでも、約120km/h(75mph)を超えると効率向上のため20mm下がる。

110mm広いボディと後輪操舵

メカニズムの強化は、外観にもはっきり表れている。ボディ幅は標準A6比で110mm広く、前世代allroadと比べても84mm広い。これはトレッド拡大と前後の太いタイヤ、そして下半身を覆う厚いプロテクション・クラッディングによるものだ。見た目のたくましさは、機能の裏づけそのものということになる。

走りの面では、応答性とフィードバック向上を狙ってステアリングマウントを強化。さらにオプションの後輪操舵は前輪と逆位相に最大5度切れ、最小回転半径を最大1メートル縮める。SUV的な車格とワゴンの取り回しを、技術で両立させようという狙いが透ける。

なぜ今、リフトアップ・ワゴンなのか

ライバルが次々と撤退するなかでの復活は、逆張りにも見える。だが見方を変えれば、競合が去った市場は“最後の一台”にとって独占的なポジションでもある。SUVでは得られない低い重心とワゴンの実用性、それでいて多くのSUVに迫る走破性——この組み合わせを欲するユーザーは、確実に一定数残っている。

1999年のC5以来、allroadが守ってきたのは「車高を上げてもワゴンであり続ける」という一線だ。SUV全盛・電動化の潮流のなかで、その独自フォーマットを“これまで以上にラギッド”にして送り出すアウディの判断は、ニッチを系譜として育ててきたブランドの自負の表れと言える。

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小鍛治康人(やすと)

この記事を書いた人

hodzilla51

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