GR GT - Concept内燃機関継続、自社開発化への誓約

小鍛治康人(やすと)約6分

GR GTは、普通のコンセプトモデルではないです。

2022年の東京オートサロンで初公開されたGR GT3 Conceptは、GT3の顧客に選ばれる魅力的なクルマを目指して生まれた一台であり、トヨタ自身も「GRヤリスと同じように、モータースポーツ用車両を市販化するという逆転の発想」で、レースの現場で磨いた知見を量販車開発にもつなげていくと説明しています。

つまりこれは、レース用の飾りではなく、「これから先のトヨタ製スポーツカー」を占うための宣言を立てる大事なクルマでもあるのです。

2000GT、LFA、そしてGR GT

ヴェルファイア – 40系【アルファードの影を抜け出した、攻めの再定義】

2023年登場の40系ヴェルファイアは、先代までの「アルファードの兄弟車」という立ち位置を脱し、よりアグレッシブで独自の存在意義を打ち出した一台です。その背景と狙いを読み解きます。

その文脈で思い出したいのが、2000GTとLFA。

どちらもトヨタ(Lexus含む)を象徴するためのいわゆる「スペシャリティカー」に当たります。

2000GTはヤマハ発動機との共同開発によって生まれ、当時の日本車観を丸っとひっくり返した名車でした。

販売前の速度試験では3つの世界記録と13の国際記録を樹立し、まさに「日本にもここまでのGTが作れる」と世界へ叩きつけた存在でした。

そしてLFAもまた特別。

レクサスの頂点として開発されたあのスーパースポーツは、CFRPモノコックに加え、4.8リッターV10をヤマハ発動機と共同開発して生まれました。

2000GTからLFAまで、トヨタの特別なスポーツカーには、節目ごとにヤマハの影があったわけですね。

GR GTエンジンの説明

アルファード – 40系【高級ミニバンが高級車そのものになった世代】

2023年登場の40系アルファードは、ミニバンの枠を超え「高級車そのもの」として再定義された世代。なぜトヨタはここまで振り切れたのか、その背景と意味を読み解きます。

しかし、GR GTに関しては、日々公開されていく情報を見ても、どこにもヤマハの名前がないです。

少なくともGR GT3 Conceptの公式発表時点で、トヨタはこのクルマのエンジン型式や開発パートナーを公表していません。

公開されたのは、GT3と量販車の両方にレースの知見を生かしていくという思想と、パッケージングの概要まで。

つまり現時点で断定はできないですが、少なくとも2000GTやLFAのように「ヤマハ製エンジンです」と語るための材料は、公式には出ていないのです。

トヨタの少し前までのスポーツカーエンジンの他社開発に触れる

プリウス – MXWH60【エコカーの代名詞が選んだ、走りという回答】

5代目プリウスMXWH60は、エコカーの象徴であることをやめずに「走り」と「デザイン」で勝負に出た。なぜトヨタはこのタイミングで大転換を仕掛けたのか、その背景と意味を読み解きます。

トヨタのスポーツカーは近年たしかに復権していました。

ですがその一方で、主力スポーツカーの心臓部を見れば、そこには「他社に依存していた時代」でもあります。A90スープラはBMW由来の直6/直4ターボを搭載し、86も初代から現行型までスバル製の水平対向エンジンを核として成立してきました。

どちらも素晴らしいクルマだったし、その成り立ち自体を否定する必要はまったくないです。むしろ協業だからこそ実現できた名作でしたし、彼らがいなければラインアップからスポーツカーが消えていた。

ただ、見方を変えればそれは、長らくトヨタが「スポーツカーそのもの」は作れても、「スポーツカーの象徴たるエンジン」を自社の旗印として前面に掲げる局面からは少し距離を置いていた、ということでもある。

これは内製化と内燃機関継続への誓いだという部分に着地

クラウン – S230系(16代目)【「いつかはクラウン」を自ら壊した再定義】

2022年登場の16代目クラウンS230系は、セダン一本だった伝統を捨て4つのボディで再出発した。なぜトヨタはクラウンを壊す必要があったのか、その背景と意味を読み解きます。

少し前まで、トヨタの「特別なスポーツカー用エンジン」といえば、2000GTやLFAのようにヤマハと組んだ象徴的な名機が思い浮かびます。

しかし今やトヨタは、自分たちの手で次世代の高出力コンパクトエンジンを作り、しかもそれをモータースポーツで壊し、鍛え、育てるところまでやっている。GR GTの真価は、スペック表のまだ見えない数値ではなく、この流れの上に立っていることにあります。

これは、トヨタがもう一度エンジンを自分たちの看板として掲げ直す、その意思表示なのです。しかもただ昔に戻るのではない。

電動化の時代を理解した上で、それでもなお内燃機関を未来に残すために、小さく、強く、燃料の自由度まで広げた新世代エンジンを作る。その覚悟を、フラッグシップの姿にして見せたのが、このGR GTというクルマなのです。

GRヤリスがこれを切り開く手助けをしたみたいに補足

GRカローラ – GZEA14H【カローラの皮を被った、本気のホモロゲマシン】

トヨタが「カローラ」の名でWRC直系の3気筒ターボと4WDを載せた異端のホットハッチ。GRカローラはなぜこの形で世に出たのか、その背景と意味を読み解きます。

トヨタ自身が、GRヤリスを「量産車からレースカーを作る」のではなく、「レースカーを最初から作る」発想の転換だと説明しています。

そしてこれ、ホモロゲのためのモデルなのに世界でバカ売れしたんですね。

GR GT3 Conceptの発表でも、トヨタは明確に「GRヤリスと同じように」モータースポーツ起点で市販車へつなぐ思想を語っていた。

つまりGRヤリスは単独の傑作ではなく、GR GTのような次のフラッグシップへ続くための扉をこじ開けた一台でもあるのです。

これからのトヨタのクルマが楽しみだねみたいにしめる

ランドクルーザー – GRJ300/VJA300【14年の沈黙を破った、重さとの決別宣言】

14年ぶりのフルモデルチェンジで登場した300系ランドクルーザー。TNGA-Fプラットフォームによる200kg軽量化とツインターボ化、そしてランクル史上初のハイブリッド投入。なぜトヨタはここまで大胆に変えたのか、その背景を読み解きます。

2000GTが日本車の可能性を世界へ示した。LFAがトヨタの技術力を極限まで研ぎ澄ました。

そしてGR GTは、その流れを受け継ぎながら、今度は「これから先もトヨタは内燃機関をやる」「しかも自社開発でエンジンまで作る」と宣言しているように見えます。

そう考えると、このクルマはまだ正体をすべて明かしていない今の段階から、もう十分に面白い。

これからのトヨタのスポーツカーは、今まで以上の次元に踏み込んでいくかもしれません。

小鍛治康人(やすと)

 

GR GT - Concept 【内燃機関継続、自社開発化への誓約】

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