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三菱FTO(DE2A/DE3A)の中古車ガイド【V6の快感と、部品供給の現実を天秤にかける】

  • hodzilla51
  • 11分で読了

2リッターV6が7500回転まで回る快感。

低く構えたクーペボディ。

1994年のカー・オブ・ザ・イヤー。

三菱FTOには、スペックだけでは語れない「乗れば分かる」気持ちよさがあります。

ただ、最終型でも2000年生産。

すべての個体が四半世紀を超えた今、「好き」だけでは乗り越えられない壁がいくつかあるのも事実です。

この記事では、FTOを中古で買ううえで本当に警戒すべきことと、逆に安心できることを整理します。

まず覚悟すべきは「部品供給」の現実

FTOの中古を検討するとき、最初にぶつかるのは故障そのものではなく、壊れたときに直せるかどうかという問題です。フロントバンパー、ヘッドライト、テールランプといった外装部品は、純正新品がほぼ手に入りません。

エンジン内部のメタルやピストンですら、一部はすでに廃盤が出始めています。

つまり、事故で外装を損傷した場合、中古部品を探すしかない。その中古部品の流通量も年々減っています。

修復歴のある個体を避けたいのはどの車でも同じですが、FTOの場合は「ぶつけたら終わり」に近いレベルで避けるべきです。

ただし、足回りやクラッチ周辺はミラージュやランサー、さらにはランサーエボリューションと基本コンポーネントを共用しているため、流用で対応できる部品がそれなりにあります。

ここはFTOの隠れた強みで、三菱の他車種オーナーやショップとのつながりがあると、維持のハードルはかなり下がります。

エンジンは丈夫、ただしオイル漏れとMIVECに注意

FTOの心臓部であるV6の6A12エンジンは、基本的にはタフなユニットです。20万kmを超えて元気に走っている個体も珍しくありません。同時代のスポーツカーと比べて競技で酷使された個体が少ないこともあり、エンジン内部が致命的に傷んでいるケースは相対的に少ないと言えます。

ただし、経年で確実に出てくるのがオイル漏れです。ヘッドカバーのガスケット、カムホルダー、タペットパッキンあたりからの滲みは、走行距離を問わずかなりの確率で発生します。V6はバンクが2つあるぶん、漏れの箇所が多い。しかもエンジンルームが狭いため、修理のためにエンジンを降ろす必要が出ることもあり、工賃がかさみやすいのが厄介です。

200馬力のMIVEC仕様(GPX、GPバージョンRなど)を選ぶなら、可変バルブ機構の状態も確認したいところです。

高回転でカムが切り替わらない、いわゆる「半ベック」「ナイベック」と呼ばれる症状が出ると、5500回転以上でパワーが出なくなります。

内部部品の摩耗が原因で、修理にはエンジンの分解が必要です。試乗時に高回転まで回して、明確にパワーの盛り上がりがあるかどうかを確認してください。

なお、粘度の低いオイル(0Wや5W始まり)を入れるとオイル滲みが出やすくなる傾向が複数のオーナーから報告されています。購入後のオイル選びも少し気を遣うポイントです。

内装の崩壊と、小さいが印象を悪くする不具合たち

FTOの中古車で、見た目の印象を最も悪くしやすいのが内装の劣化です。センターコンソールのエアコン吹き出し口まわりの樹脂は、経年でベタベタと粘着質になり、さらに白く変色します。触ると指に付くレベルで、清掃しても根本的には直りません。

シフトレバー周辺のパネルも脆く、触っただけで割れるという報告が複数あります。接着剤で補修してある個体も多いですが、見た目はどうしても悪い。

こうした内装パーツは新品供給が絶望的なので、状態の良い中古部品を見つけるか、自分で塗装・補修する覚悟が要ります。

エアコンにも注意が必要です。FTOにはエアコンフィルター(花粉フィルター)が装備されていないため、エバポレーターにカビが繁殖しやすく、独特の臭いが出やすい構造です。コンデンサーからのガス漏れやコンプレッサーの故障も報告されており、真夏にエアコンが効かないという状況は十分ありえます。

パワーウインドウのスイッチやレギュレーターの不具合、集中ドアロックの故障、メーター照明の球切れといった電装系の小トラブルも散見されます。どれも走行には直接影響しませんが、中古車として見たときの「くたびれ感」を強く印象づけるものばかりです。

サンルーフ付きの個体は、サンルーフ自体の故障リスクも頭に入れておくべきです。動かなくなる事例が複数あり、部品の入手も困難。雨漏りにつながる可能性もあるため、サンルーフ付きを積極的に選ぶ理由がなければ、非装着車のほうが安心です。

MTとATで、それぞれ違う注意点

FTOは当時のスポーツクーペとしては珍しく、AT車の比率が高い車種です。三菱が「INVECS-II」と呼んだスポーツモード付きATは、当時としては先進的な機構でした。ただし、学習制御が誤動作してシフトショックが大きくなる症状が出ることがあります。バッテリー端子を外してリセットすると改善する場合もありますが、ATF(オートマオイル)の交換履歴がない個体は、内部の劣化が進んでいる可能性があります。

MT車を選ぶ場合は、1速と2速のギア比が大きく離れている点を知っておいてください。2速から1速へのシフトダウンでシンクロ(ギアの回転を合わせる機構)への負担が大きく、摩耗が進んでいる個体ではギア鳴りが出ることがあります。日常の街乗りではあまり気になりませんが、スポーツ走行を考えている人にとっては気になるポイントです。

逆にここは強い

弱点ばかり並べましたが、FTOには安心材料もしっかりあります。

まず、車体の軽さ。MIVEC仕様のGPXでも車重は約1170kgしかありません。軽いということは、ブレーキやタイヤ、足回りへの負担が少ないということです。同世代のスポーツカーと比べても、消耗品のもちは良い傾向にあります。

6A12エンジンそのものの基本設計も堅牢です。V6ならではの滑らかな回転フィールは、直4エンジンにありがちな不快な振動やノイズとは無縁。高回転まで気持ちよく回るのに、エンジン本体が壊れるという話はあまり聞きません。オイル管理さえしっかりしていれば、長く付き合えるエンジンです。

足回りの部品がミラージュやランサーエボリューションと共用できる点は、維持の面で大きな助けになります。ロアアーム、ブッシュ類、クラッチ(エボI〜IIIのものが流用可能)など、FTO専用でなくても対応できる部品が多いのは、マイナー車種としては恵まれた環境です。

後期型(1997年2月以降のマイナーチェンジ後)では、クロスメンバーにスポット溶接の補強が追加されており、ボディ剛性が若干向上しています。購入時に前期・後期の違いを意識するなら、この点は後期型を選ぶひとつの理由になります。

現車確認で見るべきポイント

エンジンをかけた直後のアイドリングが安定しているかどうかは、最初に確認してください。不安定だったり異音があれば、点火系や吸気系に問題を抱えている可能性があります。

MIVEC仕様であれば、試乗で5500回転以上まで回す機会をつくり、カムの切り替わりでパワーがしっかり盛り上がるかを体感してください。高回転で頭打ち感があれば、MIVEC機構に不具合がある可能性があります。

エンジンルームを覗いて、ヘッドカバー周辺やタイミングベルトカバー付近にオイルの滲みがないかを確認します。下回りでは、リアメンバーやフロアパネル、マフラーのタイコ周辺の錆を念入りにチェックしてください。降雪地域で使われていた個体は特に注意が必要です。

室内では、センターコンソールのベタつきと割れ、パワーウインドウの動作速度(片側だけ遅いなら故障予兆)、エアコンの効き具合、メーター照明の明るさを確認します。ドアロックのリモコン操作も忘れずに。

パワステホースからのオイル漏れは、ハンドルを左右にいっぱい切ったときに確認しやすくなります。パワステ関連の部品は廃盤になっているものがあるため、漏れが見つかった場合の修理は簡単ではありません。

結局、FTOは買いなのか

正直に言えば、FTOは「誰にでもおすすめできる中古車」ではありません。数多い中古スポーツカーでも維持は難しい側になるでしょう。

部品供給の問題は年々深刻になっており、壊れた箇所によっては直せない、あるいは直すのに途方もない手間がかかるという現実があります。

ただ、2リッターV6が自然吸気で7500回転まで回る感覚、1170kgの軽い車体がワインディングで見せる身のこなし、そして今見ても色褪せないクーペスタイル。

これらは他の車では代替できないものです。インテグラでもセリカでもシルビアでもない、FTOにしかない味があります。

整備履歴が明確で、オイル漏れの対処がされていて、内装の状態が許容範囲にある個体を見つけられるなら、条件付きで買いです。

できれば三菱車に強いショップや、FTOの整備経験があるメカニックとのつながりを持ったうえで購入に踏み切るのが理想です。

逆に、「壊れたらディーラーに持っていけばいい」という感覚の人、修理費の予備予算を持てない人、外装をぶつけるリスクのある環境で使う人には向きません。この車は、好きだからこそ手間をかけられる人のための車です。

FTOという車は、三菱が本気でスポーツカーを作っていた時代の、最後の輝きのひとつです。流通台数は確実に減っています。

程度の良い個体に出会えたなら、それは今しかないチャンスかもしれません。

弱点を理解したうえで手を伸ばすなら、きっと後悔しない1台になるはずです。

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