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ロードスター(NC)の中古車ガイド【歴代で一番お買い得、だからこそ知っておくべきこと】

  • hodzilla51
  • 11分で読了

歴代ロードスターのなかで、いちばん地味に見られがちなのがこのNC型です。

初代NAのアイコン性もなければ、現行NDの軽さもない。「大きくなった」「重くなった」と言われ続けてきた3代目。

でも、だからこそいま中古市場では歴代で最もお買い得な世代でもあります。

2005年から2015年まで約10年間つくられたロングセラーで、途中NC1・NC2・NC3と3回の大きな改良を受けています。

2リッター自然吸気エンジンの余裕あるトルク、RX-8譲りの高剛性シャシー、そして電動ハードトップ(RHT)という選択肢。

実はかなり「使える」オープンスポーツです。

ただ、最初期のNC1はすでに20年選手。中古で買うなら、知っておくべき弱点がいくつかあります。

重大故障だけでなく、小さいけれど印象の悪い不具合も含めて、ここで整理しておきましょう。

まず警戒すべきは「水まわり」と「冷却系」

NCロードスターの中古で最初に気にしてほしいのは、幌車(ソフトトップ)の排水ドレンの詰まりです。

幌に降った雨水は、車体側面の排水経路を通って車外に流れる設計になっています。ところがこの排水口にある逆流防止弁が、ほこりや砂で詰まりやすい。

詰まると水がキャビンやトランクに逆流して、室内がびしょ濡れになります。

初期型では特にこの弁の構造が弱く、マツダから対策品が出ています。

ただ、中古車では未交換のまま流通している個体もあるため、購入前にトランクのマットをめくって湿り気がないか、その下に錆が出ていないかを確認するのが鉄則です。

一度水が溜まった車両は、フロア下やヒューズボックス周辺まで錆が進行していることもあり、見た目がきれいでも油断できません。

もうひとつ、NC固有で頻度が高いのが電動ファンモーターの故障です。

ラジエーターを冷やすための電動ファンが動かなくなると、渋滞時や低速走行時にエンジンの冷却が追いつかず、水温がどんどん上がります。

最悪の場合、オーバーヒートにつながる重大トラブルです。

前兆としては、水温計がいつもより高い位置で安定する、停車時にファンの回転音が聞こえないといった症状があります。修理費は部品代と工賃あわせて6万円前後が目安。

走行不能に直結しうるトラブルなので、購入後に点検しておきたい部位です。

小さいが印象を悪くしやすい不具合たち

NC型で意外と話題になるのが、6速MTのシフトの渋さです。

とくに冷間時の2速が入りにくいという声は、新車時から多くのオーナーが口にしています。シンクロが弱いわけではなく、レリーズシリンダーまわりの問題が指摘されており、後に対策品も出ています。

日常的に困るかというと、慣れてしまえばそこまでではありません。ただ、試乗時に「このミッション大丈夫か?」と不安になる人は多いでしょう。ミッションオイルを100%化学合成の少し硬めのものに交換すると改善するという声もあります。中古で買うなら必ず試乗して、シフトフィールを確認してください。

次に、シートベルトの巻き取り不良。ベルトを外したあと、だらりと垂れ下がったまま戻らなくなる症状です。走行には直接関係しませんが、乗り降りのたびに気になりますし、見た目の印象も悪い。部品交換で直りますが、しばらくすると再発することもあるようで、地味にストレスが溜まる不具合です。

エアコンのコンプレッサー故障も、年式を考えると避けて通れない話題です。

夏場に焼き付きやガラガラ異音が出るケースが報告されています。コンプレッサー単体の交換では済まず、内部の削りカスがシステム全体に回ると、コンデンサーや配管の洗浄・交換まで必要になり、修理費が10万〜20万円に膨らむこともあります。オープンカーでエアコンが効かないのは致命的なので、購入前にエアコンの動作確認は必須です。

パワーウインドウの不具合も歴代ロードスター共通の弱点ですが、NCでも健在です。ドア内部に水分が侵入しやすい構造のため、レギュレーターやモーターが錆びたり劣化したりして、窓が動かなくなることがあります。片側で2〜3万円程度の修理費ですが、オープンカーで窓が閉まらないのは相当困ります。

幌車の場合は、幌そのものの劣化にも注意が必要です。

折り畳み部分の接着剤が染み出してシミになったり、生地がほつれたり、縮んでウェザーストリップとの密着が甘くなって雨漏りにつながることもあります。

張り替えは工賃込みで10万円以上かかるのが一般的。屋外保管だった個体は劣化が早い傾向があります。

逆に、ここはかなり強い

弱点ばかり並べましたが、NCロードスターには安心材料もしっかりあります。まずエンジンの基本信頼性が高い

搭載されるLF-VE型2リッターエンジンは、アクセラなど他のマツダ車と基本設計を共有する量産ユニットです。タイミングベルトではなくタイミングチェーンを採用しているため、10万キロごとの交換が不要。20万キロ超えてもチェーン交換なしで走っているオーナーもいます。

エンジン本体が壊れたという話はほとんど聞きません。適切にオイル管理をしていれば、機関系で大きなトラブルに見舞われるリスクは低いと考えてよいでしょう。

シャシーとボディの剛性も、NCの美点です。RX-8とプラットフォームを共有し、アルミ素材を広範囲に使った設計で、オープンボディとは思えないしっかり感があります。10年以上経っても「ボディがヤレた」という声が少ないのは、この基本設計の良さによるところが大きいです。

RHTモデルを選べば、幌の劣化・雨漏りリスクから解放されるのも大きな安心材料です。電動ハードトップの重量増は約40kg程度に抑えられており、走りへの影響は最小限。トランクスペースも犠牲にならない設計で、日常の使い勝手もソフトトップ車と変わりません。

さらに、NCは歴代ロードスターのなかで中古部品の流通が少ないという事情があります。裏を返せば、事故車や解体車が少ないということ。大切に乗られてきた個体が多い傾向にあるとも言えます。ただし、万が一の板金修理やパーツ交換では部品探しに苦労する可能性があるので、ぶつけない運転を心がけたいところです。

現車確認で見るべきポイント

まず幌車なら排水ドレンの状態。トランクマット下、シート下に湿りや錆がないかを確認します。対策品のドレンバルブに交換済みかどうかも、できれば聞いておきましょう。

エアコンは必ず最大冷房で動作確認してください。コンプレッサーから異音がないか、しっかり冷えるかをチェック。夏場に壊れてからでは修理費が高くつきます。

MT車なら冷間時のシフトフィールを確認。とくに1速から2速へのシフトアップがスムーズに入るかどうか。渋さが極端なら、レリーズシリンダーやミッションオイルの状態を疑ってください。

RHTモデルの場合は、ルーフの開閉動作を必ず実演してもらいましょう。途中で止まったり異音がする場合、内部のギア欠損などが考えられます。RHTの修理は部品単価が高く、在庫も潤沢とは言えないため、ここは妥協しないほうがいいです。

パワーウインドウの上下動作、水温計の挙動、ヘッドライトの曇り具合もあわせて確認。とくにヘッドライトの黄ばみ・曇りは年式相応に出やすく、見た目の印象を大きく左右します。

NC1の初期型(2005〜2007年前半)とそれ以降では、フロア内部への発泡ウレタン注入による剛性強化など細かい改良が入っています。車台番号の頭が「15」で始まる個体は通称NC1.5と呼ばれ、初期型より改良が進んでいます。予算が許すなら、NC1.5以降を狙うのがひとつの目安です。

NC1・NC2・NC3、どれを狙うか

NCロードスターは大きくNC1(前期・2005〜2008年)、NC2(中期・2008〜2012年)、NC3(後期・2012〜2015年)に分かれます。走りの面で最も大きな進化があったのはNC2です。

NC2ではエンジンに鍛造クランクシャフトが採用され、レブリミットが7,000rpmから7,500rpmに引き上げられました。フロントサスペンションのロールセンター高も26mm下げられ、ハンドリングのリニアリティが向上。内装の質感も改善されています。走りを重視するなら、NC2以降を強くおすすめします。

NC3はNC2からの小変更が中心で、スロットルやブレーキの制御特性の見直し、歩行者保護のためのアクティブボンネット搭載などが主な変更点です。NC2とNC3の走りの差は、乗り比べてもわかりにくいレベルという声が多く、デザインの好みで選んでも問題ありません。

NC1は価格が最もこなれていますが、年式なりの経年劣化リスクも高くなります。とくに初期型は排水ドレンの未対策品が残っている可能性や、各部ゴム類の硬化が進んでいることを覚悟してください。安さに飛びつく前に、整備履歴の確認が重要です。

結局、NCロードスターは買いなのか

結論から言えば、NCロードスターはかなり買いです。

歴代ロードスターのなかで最も不人気とされてきたおかげで、中古価格は割安。それでいて2リッターエンジンの余裕ある走り、高剛性シャシーによる安定感、RHTという実用的な選択肢まで揃っています。

エンジンの基本信頼性は高く、タイミングチェーン採用で大物の予防交換もほぼ不要。「スポーツカーなのに壊れにくい」という、ある意味で贅沢な立ち位置にいます。

ただし、排水ドレンの詰まりや電動ファンの故障、エアコンコンプレッサーの劣化など、年式なりに出てくる弱点は確実にあります。6MTのシフトの渋さやシートベルトの巻き取り不良のような「小さいけど気になる」不具合も、知らずに買うと印象が悪くなりがちです。

この車に手を出してよいのは、購入後にある程度の整備費用をかける覚悟がある人。そして、弱点の面倒を見られる人です。逆に、買ったらしばらくノーメンテで乗りたい人や、小さな不具合でも気持ちが萎えてしまう人には向きません。

NAやNBの価格が高騰し、NDの中古もまだ値が張るいま、NCは「ロードスターという体験」に最もコスパよくアクセスできる入口です。オープンにして走ったときの気持ちよさは、世代を問わずロードスターそのもの。その本質を、いちばん手の届きやすい価格で味わえるのがNCという存在です。

迷っているなら、まずは現車を見に行ってください。

屋根を開けて走れば、細かい弱点のことなど気にならなくなる——とまでは言いませんが、「これは自分で面倒を見たい車だ」と思えたなら、きっと後悔はしません。

あ、試乗でオープンにすると買って帰ってしまうのでご注意を。

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