シビックType R - FL5血統がたどり着いた新時代のFF

小鍛治康人(やすと)約5分

「Type R」30年目の新章、FL5

ホンダ・シビックタイプR FL5
画像:Dinkun Chen/CC BY-SA 4.0(Wikimedia Commons)

シビックType R - FK8【Type Rが持つ戦闘思想の具現】

「ターボ+空力」で壁をブチ破った十代目FK8 https://kuruma-dna.com/fk2 2017年、ホンダはFK2の成功を見て高回転NAをいさぎよく捨て去り、10代目シビック Type R=FK8 を世に放ち […

2022年9月、11代目シビックをベースに誕生したFL5型シビック Type Rは、歴代最多320 psを誇ったFK8をさらに磨き上げ、2023年4月にニュル北コース7分44秒881を記録してFF最速の座を奪還します 。

先代で確立した「ターボ+空力+デュアルアクシス」という武器を徹底的に煮詰めたFK8の正常進化がFL5となります。

開発思想「究極を創り続ける」執念

開発責任者・柿沼秀樹氏は「日常域での素直さと、サーキットでの限界領域が地続きになるクルマ」を掲げました。

二輪がお好きな方はわかるかもしれませんが、ホンダは二輪でも四輪でも「究極」を追う文化を共有しています。

例えばCBR1000RR-RやGOLDWINGなどがわかりやすいです。四輪でもNSX-Rがそれに当てはまります。

FL5でもその哲学が貫かれているワケですね。

K20C1改。出力比165 ps/ℓ、329 ps

排気量1,995 ccの直噴VTEC TURBOは、ターボハウジングを最適化し、吸気流路の損失を低減。結果、最高出力329 ps/6,500 rpm、最大トルク420 Nm/2,600–4,000 rpm(欧州仕様)を達成します(日本仕様は最高出力326 ps)。

2,500 rpmから湧き上がる実用トルクと、6,500 rpmまで淀み無く伸びる回転フィールは、ターボながら歴代NA型に通じる一体感を実現しました。

「骨太×しなやか」新プラットフォームと空力の深化

シビックType R – FK2【FF戦争最前線に投入された、ターボRの一番機】

「ターボでType R」革命のFK2 https://kuruma-dna.com/fk8 2015年に登場したFK2は、歴代Type Rで初めてターボを積んだ“異端児”だった。 2.0 ℓ VTEC TURBOで310 […

スポット溶接増しと構造用接着剤の併用による骨格強化で先代比15%のねじり剛性を確保し、デュアルアクシス・ストラットでトルクステアを90%低減して旋回中の舵残りを解消。

さらにトレッドを26 mm拡大した全幅1,890 mmのワイド&ローパッケージと、三分割フロントスプリッター・大型ディフューザー・角度可変リアウイングから成る「ゼロリフト空力」を組み合わせた相乗効果により、

鈴鹿では開発計測2分23秒5をマークして歴代FFレコードをまたも順調に塗り替えました。

R+とIndividual「電子制御は味付けから武器へ」

シビックType R – FN2【欧州から来たもう一つのType R】

「ユーロR」と呼ばれたFN2 画像:Vincemcfly/CC BY-SA 4.0(Wikimedia Commons) 2007年、英国スウィンドン工場で生まれたFN2は、EP3以来となる3ドアボディにスペースシップと […

FL5は「Comfort」「Sport」「+R」の三段モードに加え、ドライバーがステア応答・ダンパー減衰・スロットルマップを自由に組み合わせられるIndividualを新設。

さらにロガーアプリ「Honda LogR 2.0」がG・ブレーキ圧・ステア角をリアルタイム表示し、サーキット走行後にはAIが走りを採点するというびっくりシステムが搭載されます。

ニュル7分44秒881「量産FF最速」の証明

シビックType R - FD2 【4ドアに宿った最後の自然吸気VTEC】

四枚ドアで「最速」を更新したFD2 画像:Adam Court/CC BY 2.0(Wikimedia Commons) https://kuruma-dna.com/fn2 2007年3月30日、ホンダは3代目シビック […

2023年春、量産状態のFL5は20.832 kmフルラップで7:44.881を叩き出し、メガーヌRS Trophy-RやゴルフRを再び後方に置いた 。

トップギア誌は「コーナー出口で一切暴れずに400 Nmを載せ替え、まるで四駆のよう」と評しています。

「RACING BLACK Package」漆黒の深化

シビックType R - EP3 【異端さを速さで黙らせたR】

2.0 ℓ化で「シビックType R」は次章へ https://kuruma-dna.com/ek9 2001年10月、シビック Type Rは2代目EP3へ進化。 生産拠点は英国スウィンドン、排気量は2.0 ℓへ拡大、 […

2025年1月、日本限定でRACING BLACK Packageが追加。マットブラック専用塗装、ブラックBBS鍛造19 inch、ブラックレカロを纏い、標準車比-6 kgを実現した。デリバリーは1年待ちと言われ、“黒い赤バッジ”は新たなステータスとなっている 。

「熟成されたType Rターボ」が示す未来

FL5は先代が拓いたターボ+空力路線を「使い切れる速さ」へ昇華し、Type R 30周年の節目を飾る集大成となりました。

荷物も家族も積んでサーキットを制す。そんなType R流の人生提案こそ、初代グランドシビックSiRから連なるDNAの最新形なのです。

回せば吠える、踏めば曲がる、その先に待つのはデータで証明できる「究極の自己ベスト」

FK2から続いてきたライバルたちは最後を迎えています。

しかしType Rはまだ、次の一秒を削る挑戦を止めていません。

「昔のホンダ」と現在のHondaの違いについては、コラムで書いています。

「本田技研工業」は、いつ「Honda」になったのか

Hondaの筆頭株主は信託銀行で、大株主に本田家の名前はありません。1957年に本田宗一郎が16.41%を握っていた会社は、いつ「Honda」になったのか。創業者自身が同族経営を終わらせた経緯と、Super-ONEに残る「説明しづらい価値」

小鍛治康人(やすと)

 

シビックType R - FL5【血統がたどり着いた新時代のFF】

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